Aspergillus awamori NBRC 4033における菌株の入れ替わりについて

NBRCの保存微生物株の種名確認作業において、Aspergillus awamori NBRC 4033（近年Aspergillus luchuensisに再同定された）の現在の分譲ロットが、30年以上前（1984 年）に作製されたIFO 4033のロットとは系統が異なることが判明しました。
　現在、NBRCから本菌株を譲り受けた実績のあるユーザー様に対し、必要に応じてIFO 4033の1984年のロットを復元させたA. luchuensis NBRC 111188を再分譲させていただく対応を取らせていただいております。

【経緯と対応】

Aspergillus awamoriの菌株群について、近年β-チューブリン遺伝子配列に基づく分類学的再編がなされ、狭義のA. awamoriとA. luchuensisに細分されま した。NBRCではこれを受けて、保有する全菌株の表記名の確認を進めておりました。
　この作業において、参考文献*に掲載されたNBRC 4033の同一由来株であるA. luchuensis RIB 2601とNBRC 4033の配列が一致しませんでした。両機関で再調査を続け、また1984年に凍結保存 されたIFO 4033のロットを復元したところ、こちらはA. luchuensisに属することが示されました。
　つまり、30年以上前のIFO 4033と現在の NBRC 4033は同一の株ではなく、菌株の取り違えが起こったことが示唆されました。また、NBRCから分譲した過去のロットを確認した結果、平成17年以降に NBRCから分譲したNBRC 4033は、狭義のA. awamoriであったことも確認いたしました。
　既にその学名と菌株をご利用になられたユーザー様もいらっしゃることから、「NBRC 4033」はA. awamori （以前に分譲した菌株と同一のもの）のままとし、復元した「IFO 4033」に新しい NBRC番号（NBRC 111188）を付与し、NBRC 4033とは別株として取り扱うことといたしました。

NBRCでは、今後も着実な品質確認を行い、再発防止に努めて参ります。皆様のご理解を賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　平成27年6月26日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　独立行政法人製品評価技術基盤機構
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　バイオテクノロジーセンター所長

【本件に関するお問い合わせ先】
　生物資源利用促進課　糸状菌担当
　電話：0438-20-5763　電子メール：[email protected]

*参考文献 Hong S.-B. et al. (2013) Aspergillus luchuensis, an industrially important black Aspergillus in East Asia. Plos One 8: 1-9. doi: 10.1371/journal.pone.0063769

※本件について続報を掲載しました（2019年1月11日）。
【Aspergillus awamori NBRC 4033における菌株の入れ替わりについて（続報）】
https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/information/20190111.html