製品安全

Vol.467 12月24日号 「ガストーチ、乳幼児用玩具の事故」


Vol.467 12月24日号 「ガストーチ、乳幼児用玩具の事故」【PDF:1.25MB】


 今回は製品安全に係わる法改正のお話です。消費生活用製品安全法等(いわゆる製品安全4法)において新たな制度が導入されることに決まりました(政令の閣議決定)。ガストーチ、乳幼児用玩具が規制の対象製品に加わることになります。
 そこで、これまでNITEに報告されているこれら製品の事故事例と合わせて、制度の概要をご紹介します。

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項目一覧

1. ガストーチ、乳幼児用玩具の事故及び規制内容
2. 製品事故収集情報(11月24日~12月7日 受付61件)
3. リコール情報 3件
4.その他の製品安全情報
 ・「蓄電池システムの安全性評価に関するNITE講座(オンラインセミナー)」受講者募集のお知らせ
 ・製品事故情報、リコール情報検索ツール「NITE SAFE-Lite」のご案内
 ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
 ・Instagram アカウントのご案内

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1.ガストーチ、乳幼児用玩具の事故及び規制内容

■ガストーチに対する規制が開始されます
 昨今、調理やアウトドアでの需要増加に伴い、ガストーチによる事故の発生件数が増加していることから、液化石油ガス器具等及び特定液化石油ガス器具等へ指定して規制対象とし、技術基準に適合しない製品の販売が規制されます。
 「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」(以下「液石法」という。)の特定液化石油ガス器具等に、新たに携帯液化石油ガス用バーナー(いわゆる「ガストーチ(※1)」)が指定されました。これにより、カセットこんろなどと同じく、国に登録された検査機関による適合性検査をクリアした製品しか販売できなくなります。2025年2月6日から施行されます。
 
※1 携帯液化石油ガス用バーナーの定義:

 液化石油ガスを充塡した容器が直接取り付けられる構造のものに限り、当該容器との接続部から火炎を出す位置までの距離が三十五センチメートル以上のもの及び当該容器(液化石油ガスの吸収材の使用その他の液化石油ガスの漏えいを防止するための加工がされているものに限る。)との接続部がねじ式のものを除くもの。

 
◆ガストーチの事故
〇 部品(Oリング)の不良によるガス漏れの事故
【事故事例.1】
 点火したところ、ガストーチを焼損する火災が発生しました。(2023年 広島県 男性)
→火力調整つまみに連動したスピンドルに装着されたOリングが収縮してガス漏れに至ったものと推定されます。

 
〇ガスボンベの接続が不備によるガス漏れの事故
【事故事例.2】
 ガストーチを点火したところ、ボンベ接続部付近から出火し、周辺を焼損しました。 (2023年 兵庫県 男性)
→ボンベホルダーの内側ガイドにカセットボンベの切り欠きを合わせずに斜めに挿入したとみられる傷が認められたことから、ガストーチとカセットボンベの接続が不完全な状態で使用されたことで、接続部から未燃ガスが漏れ、点火時の炎が引火した可能性が考えられます。
 
■乳幼児用玩具と乳幼児用ベッドに対する新しい規制が始まります
 3歳未満の子供に集中して玩具の誤嚥による事故が発生していることや、国際的にも3歳未満向けの玩具に対して特に厳しい安全規格が存在することなどを踏まえ、「消費生活用製品安全法」(以下「消安法」という。)の中に、新たに「子供用特定製品」が設けられました。子供用特定製品の新PSCマークは、技術基準への適合だけでなく、対象年齢や使用上の注意が付されたものであることも示すため、(既存のPSCマークとは別に)新たに規定されます。
 「子供用特定製品」として、「乳幼児用玩具」(主として家庭において出生後三十六月未満の乳幼児の遊戯に使用することを目的として設計したものに限る。)と、既に「特別特定製品」に指定されている「乳幼児用ベッド」の2製品が指定されます。少し先ですが、2025年12月25日から施行されます。

 

◆乳幼児用玩具の事故
〇玩具の乾電池の液漏れ
【事故事例.3】
 ベビージム玩具で、乾電池から液漏れが発生し、ベビージム玩具の下にいた乳児(3か月)が負傷しました。 (2022年 福岡県 男児)
→電池ボックス(単2電池3本)から電解液が漏れてベビージム玩具の真下にいた幼児の目及び頬に掛かり、化学火傷を負いました。古い電池と新しい電池を混在して使用したことにより、古い電池が過放電となって液漏れが生じたものと推定されます。
 
〇転倒を防ぐ設計がされていない
【事故事例.4】
 手押し車玩具で、幼児が玩具を押し進めたところ、玩具が後ろに倒れて前方が跳ね上がり、顔に当たって、歯茎に裂傷を負いました。 (2019年 埼玉県 女児)
→前方が浮いて転倒することを防ぐ設計がされていなかったため、幼児が上部ハンドルを持ち、押す力が下向きに作用した際に前方が浮き、玩具が後ろに倒れたものと推定されます。
 
■詳細につきましては以下をご確認ください
 経済産業省では、今回の制度改正に関して、12月10日に、「消費生活用製品安全法等の関係政令が閣議決定されました」と題してプレスリリースをしています。
 https://www.meti.go.jp/press/2024/12/20241210001/20241210001.html
 

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2.製品事故収集情報

◆◆◇    消費生活用製品の事故情報収集状況    ◇◆◆
(11月24日~12月7日 受付61件)
     NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
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製品名                 (事故状況と件数)
 
1. モバイルバッテリー                         ( 火災等 5件 )
2. ガス器具部品(ホース,迅速継手)         ( 火災等 3件 )
2. ノートパソコン、スマホ                   ( 火災等 3件 )
4. 電気掃除機(充電式・自走式)          ( 火災等 2件 )
4. 踏み台(アルミニウム合金製)          ( 破損等 2件 )
4. 太陽光発電機(パワコン)                ( 火災等 2件 )
4. 配線器具                        ( 火災等 2件 )
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 その他、件数が2件のものとして、マッサージ器(充電式)、自転車、カセット、ガスこんろ、エアコンがあります。

◇最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
 
■事故情報の提供をお願いいたします。
 事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
 

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3.リコール情報

◆ユアサプライムス株式会社(法人番号:6010001059673)
「扇風機」 2024/12/09(HP)
【詳細】https://www.yuasa-p.co.jp/recall_wall-fan_2024/
 
◆オムロンヘルスケア株式会社(法人番号:7130001024920)
「椅子」 2024/12/06(HP)
【オンライン受付フォーム(24時間)】https://forms.office.com/r/UAHgQhHq28
【詳細】https://www.healthcare.omron.co.jp/corp/topics/2024/1211.html
 
◆シャークニンジャ株式会社(法人番号:4010401132981)
「ドライヤー」 2024/04/05(HP)
【詳細】https://www.sharkninja.jp/info/news/content92/
 

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4.その他の製品安全情報

◆◆◇  「蓄電池システムの安全性評価に関するNITE講座」 ◇◆◆
受講者募集のお知らせ(オンラインセミナー)
 
 1月30日に「蓄電池システムの安全性評価に関するNITE講座」をオンラインセミナーにて、無料開催します。 
カーボンニュートラルを目指す上で不可欠な蓄電池システムを今後安全に使用していくためには、蓄電池システムの安全性に関する規格に基づいた試験を適切に行い、評価していくことがとても重要です。 
 本講座では、企業等で蓄電池及び定置用蓄電池システム関連の業務・研究等に携わっている方、今後携わる予定の方を主な対象として、蓄電池システムの安全性評価に関する基礎的な情報から丁寧に紹介します。 
 皆様のご参加をお待ちしております。 
 
【講座名】蓄電池システムの安全性評価に関するNITE講座(オンラインセミナー)
【詳細】 https://www.nite.go.jp/gcet/nlab/nite-kouza_2024_nlab.html 
【開催日時】2025年1月30日(木曜日)13:15~16:35  
【開催形態】オンラインによるライブ配信(Webexウェビナー)   
【定員】1,000名 (定員になり次第受付を終了します)     
【対象者】こんな方々にオススメです。 
   ・企業などで蓄電池及び定置用蓄電池システム関連の業務に携わっている方 
   ・今後関わる予定がある方 
   ・本講座にご興味のある方
【受講料】無料(受講登録が必要です。Webexも無料版で受講いただけます。)  
【受講登録】https://nite.webex.com/weblink/register/r6431996832482bc398536b5e47d9b8cb
 
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◆◆◇  「NITE SAFE-Lite」のご案内 ◇◆◆
 
 NITE は、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する情報を発信しており、NITE のウェブサイトで、製品事故の調査結果、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを提供しています。その中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、「NITE SAFE-Lite」というサービスを提供しています。
 
 「NITE SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、6 万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。
 
 「NITE SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる危険性やその場合の被害状況などが「見える化」され、事故の未然防止につながります。
 
 令和6年4月1日、「SAFE-Lite」は「事故情報検索データベース」と「リコールデータベース」を統合し、「NITE SAFE-Lite」となりました。
 
【NITE SAFE-Lite】
 https://safe-lite.nite.go.jp/
 
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       ◆◆◇ 消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について ◇◆◆
 
                                    消費者庁
 
 消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
 
12/20 13件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241220_01.pdf
12/17   8件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241217_01.pdf
12/13 12件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241213_01.pdf
12/10 13件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241210_01.pdf
 
 
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◆◆◇ Instagram アカウントのご案内 ◇◆◆
 
 NITEでは、公式アカウントを開設しています。
 インスタグラムでも、シーズンに合わせて、皆様の生活の安全を守るためにどんどん発信していきますので、フォローやいいねをお待ちしております!
 
 Instagramアカウント→@nite_japan

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編集後記

 私は以前、ノートパソコンを模した知育ツールの安全性レビューをしたことがあり、開閉ヒンジ部に指が入る隙間を見つけ、どの開閉位置でも隙間が出ないように改善指導をしたことがありました。子供自身は指を挟んでも痛いのですぐに気づいて開閉部を戻して指を抜くこともできますが、もし周りに兄弟友達がいて、ふざけて不意に閉められたりしたら大変危険なんですよね。玩具の安全設計は使用環境を含め、色々な角度から危険を想定して対応しないといけませんね。多くの子供たち、安全に元気に育つことを祈って。

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図