Vol.466 12月10日号 「配線器具の事故」
Vol.466 12月10日号 「配線器具の事故」【PDF:652KB】
配線器具は普段何気なく使用しているものの、めったに動かさない家具や荷物の裏など、一度接続してしまえば差されたままで普段は意識することが少ないかもしれません。NITEに報告される配線器具の事故の中には、使い方や設置状況に原因があった事故のほかにも、ほこりがたまっていたなど掃除をおろそかにしていたことによると思われる事故があります。
今回は、配線器具の事故を防ぐためのお掃除ポイント、使い方や設置上の注意点などをご紹介します。これらは大掃除に限らず、日頃の生活でも意識するよう心掛けてくださいね。
(※1)今回取り上げるのは、コンセント、マルチタップ、延長コード、テーブルタップの4器具です。
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項目一覧
1. 配線器具の事故
2. 製品事故収集情報(11月10日~11月23日 受付228件)
3. リコール情報 8件
4.その他の製品安全情報
・製品事故情報、リコール情報検索ツール「NITE SAFE-Lite」のご案内
・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
・Instagram アカウントのご案内
1.配線器具の事故
■ 配線器具の事故
【事故事例.1】
延長コード付近から出火し、周辺を焼損しました。(2024年 千葉県)
→延長コードの差込みプラグと壁コンセントとの間にほこり等が堆積し、トラッキング現象が生じ焼損したものと推定されます。
【事故事例.2】
テーブルタップに電気製品を接続していたところ、テーブルタップを溶融する火災が発生しました。(2022年 神奈川県)
→テーブルタップに接続されていたスポットエアコンの電源プラグの栓刃に変形が認められたことから、テーブルタップの刃受け金具(※2)と電源プラグの栓刃(※3)との間で製品使用時に接触不良が生じて異常発熱し、出火したものと推定されます。
【事故事例.3】
テーブルタップに電気製品を接続していたところ、テーブルタップ及び周辺を焼損する火災が発生しました。(2022年 大阪府)
→使用者は、日常的に電気掃除機をテーブルタップに接続して、電源コードが伸びきった状態で使用していたとの申出内容でした。
テーブルタップの電源プラグ栓刃可動部(※4)に外力が加わったため、カシメ部が緩み接触不良が生じ、異常発熱して焼損したものと推定されます。
【事故事例.4】
コンセント及び周辺を焼損する火災が発生しました。(2022年 埼玉県)
→二口のコンセントに、上側は1200Wの電気冷温風機、下側にはテーブルタップを介して500Wの電気こたつと149Wの液晶テレビ等が接続され、各製品を使用中にコンセントの上側から出火しました。
コンセントに接続可能な最大電力を超えて電気製品を接続し使用していたため、刃受け金具と栓刃の接触部で異常発熱し、差込口が焼損したものと推定されます。また、コンセントは長期使用(46年)されていたもので、刃受け金具の接触抵抗が増加していたことも事故発生に影響したものと推定されます。
(※2)(※3)(※4) の部位を写真で示します。
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〇電源プラグ及び電源タップは小まめに掃除し、水分がかからないようにする。
電源プラグはコンセントや電源タップとの間に隙間が生じないようにしっかりと差し込み、定期的に掃除してほこりを取り除いてください。
電源プラグをコンセントや電源タップとの間に隙間がある状態で差したままにすると、隙間にほこりがたまって表面に水分が付着したり、水分が内部に浸入したりしてショートやトラッキング現象が生じるおそれがあります。
観賞魚水槽などの水気の近くは、特に注意が必要です。配線器具に水がかからないよう水槽と距離をとる、配線器具を水槽の下方ではなく上方に設置するなど、配置に留意してください。
掃除の際は、必ずコンセントや電源タップから差込プラグを抜いて、“から拭き“でほこり等のよごれを取り除いてください。コンセントや電源タップの差込口にアルコールスプレー等の洗浄液が直接かかるとショートやトラッキング現象が生じるおそれがあります。
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電源プラグが変形した状態で使用すると、コンセントの刃受け金具と正常に接触せず、異常発熱や発火に至るおそれがあります。テーブルタップを踏みつけてしまったり、コンセントから力任せに引き抜いてしまったりした際に電源プラグは変形します。
設置場所や抜き差しに注意してください。電源プラグが変形した場合は使用を中止し、メーカーや販売店にご相談ください。
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延長コードやテーブルタップの電源コードを折り曲げる、踏みつける、引っ張るといった、外部から電源コードに無理な力が加わる使い方をすると、電源コードの芯線が断線して、異常発熱や発火に至るおそれがあります。
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テーブルタップなどには接続可能な最大消費電力または定格電流(何アンペアまで接続できるか)が定められています。接続可能な最大消費電力や定格電流を超えると発熱を生じ、コンセント部の刃受け金具と電源プラグの栓刃の接触が緩い箇所で異常発熱したり、電源コードの絶縁被覆が破損してショートしたりして発火するなどの事故につながります。
電気製品を接続する際は、接続可能な最大消費電力や定格電流を超えないように注意してください。接続可能な最大消費電力または定格電流は、テーブルタップ本体やパッケージに記載されています。
また、消費電力の大きな電気製品の中には、テーブルタップなどの使用を禁止しているものがあります。事前に接続する電気製品の取扱説明書や本体表示を確認し、記載されている指示に従ってください。
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もし以下に示すような異常がある場合は使用を中止してください。
☑ 異常に熱くなる
☑ 電源プラグの抜き差しが緩い
☑ コードを動かすと、接続している機器の電源がついたり消えたり挙動がおかしい
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(参照:一般社団法人日本配線システム工業会(JEWA) 配線器具について)
https://www.jewa.or.jp/
■NITEでは2024年11月28日に注意喚起として『ホコリも積もれば事故となる ~年末は配線器具の掃除・チェックもお忘れなく~』をプレスリリースしました。
ご紹介した配線器具の詳しい分析結果を掲載しています。ぜひご覧ください。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2024fy/prs241128.html
■新作映像資料
・その他「1.配線器具の5つのチェックポイント」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/2024112801.html
2.製品事故収集情報
(11月10日~11月23日 受付228件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
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2.モバイルバッテリー ( 火災等 12件 )
3.洗面化粧台 ( 破損等 9件 )
4.照明器具 ( 火災等 5件 )
5.タブレット端末、スマホ ( 火災等 4件 )
5.太陽光発電機(パワコン) ( 火災等 4件 )
◇最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
■事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
3.リコール情報
◆SUNVIC合同会社(法人番号:6100003004924)
「ポータブル電源」 2024/11/15(HP)
【詳細】https://sunvicllc.com/recall/
◆株式会社ドウシシャ(法人番号:8120001039126)
「ACアダプター(スピーカー用)」 2024/11/22(HP)
【詳細】https://www.doshisha.co.jp/dcs/wp-content/uploads/2024/11/24-11-22.pdf
◆ダイアナ株式会社(法人番号:7010001049715)
「靴」 2024/11/25(HP)
【詳細】https://www.dianashoes.com/shop/cms/contents.aspx?contents=1099
◆株式会社オリエンタルランド(法人番号:3040001029379)
「ステンレスボトル」 2024/11/27(HP)
【詳細】https://www.olc.co.jp/ja/news/news_olc/20241126_01/main/0/link/20241126_01.pdf
◆イオンリテール株式会社(法人番号:2040001000456)
「ラグ」 2024/11/27(HP)
【詳細】https://www.aeonretail.jp/pdf/241127_1.pdf
◆株式会社パロマ(法人番号:4180001009176)
「ガスバーナー付ふろがま(屋外式 給湯部有)」「ガス瞬間湯沸器(屋外式 先止め
式)」「ガス温水熱源機(屋外式 給湯・暖房)」 2024/10/31(HP)
【詳細】https://www.paloma.co.jp/important/info_repair/2024/202411.html
◆株式会社ニチネン(法人番号:7010401172513)
「カートリッジガスこんろ」 2024/10/28(HP)
【詳細】https://www.nitinen.com/pdinfo.html
◆Vita-Mix Corporation
「ブレンディングボウル」「ブレンディングカップ」「ブレードベース」 2024/06/26
(HP)
【詳細】https://blendingcupbowlrecall.expertinquiry.com/
4.その他の製品安全情報
NITE は、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する情報を発信しており、NITE のウェブサイトで、製品事故の調査結果、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを提供しています。その中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、「NITE SAFE-Lite」というサービスを提供しています。
「NITE SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、6 万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。
「NITE SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる危険性やその場合の被害状況などが「見える化」され、事故の未然防止につながります。
令和6年4月1日、「SAFE-Lite」は「事故情報検索データベース」と「リコールデータベース」を統合し、「NITE SAFE-Lite」となりました。
【NITE SAFE-Lite】
https://safe-lite.nite.go.jp/
消費者庁
消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告
のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
12/06 15 件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241206_01.pdf
12/03 07件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241203_01.pdf
11/20 15件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241129_01.pdf
11/26 09件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241126_01.pdf
NITEでは、公式アカウントを開設しています。
インスタグラムでも、シーズンに合わせて、皆様の生活の安全を守るためにどんどん発信していきますので、フォローやいいねをお待ちしております!
Instagramアカウント→@nite_japan
編集後記
現在の「年末大掃除」の習慣は、昔の「煤払い」の風習から来ているそうです。旧暦の「正月事始め」で、お正月を迎える準備を始めるための行事でした。掃除というよりは、お正月に年神様をお迎えするために、1年間の汚れを清める厄払いの意味合があったそうですね。このことから大掃除は旧暦の「正月事始め」にあたる12月13日以降に始めるのが良いらしいです。
ところで、大掃除をすると大量のごみや廃棄物が出てきますね。皆さん、ちゃんと分別してゴミ出し日は守って捨てられるように計画して行いましょう。カセットコンロの空のガスボンベ、いらなくなったリチウムイオン二次電池、蛍光灯の廃棄は地区の決まりなどを守って正しく行ってくださいね。
お正月、年神様、皆様のもとへ来てくれはりますように~。 (^^)/
お問い合わせ
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター 製品安全広報課
-
TEL:06-6612-2066
FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図