製品安全

Vol.465 11月26日号 「除雪機の事故」


Vol.465 11月26日号 「除雪機の事故」【PDF:654KB】

 大雪の際には強い味方の「除雪機」。しかし、誤った使い方をすると命を落とす危険があります。冬が迫ったこの時期に、歩行型除雪機(以下、除雪機)を安全に使うためのポイントをご紹介します。(今回、降雪とは無縁の地域におられる方はごめんなさい、でも何か教訓が得られるかも。ぜひご覧ください。)

 


 

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項目一覧

1. 電気暖房器具及び石油暖房器具の事故
2. 製品事故収集情報(10月27日~11月9日 受付71件)
3. リコール情報 3件
4.その他の製品安全情報
 ・製品事故情報、リコール情報検索ツール「NITE SAFE-Lite」のご案内
 ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
 ・Instagram アカウントのご案内

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1.除雪機の事故

 除雪機は、その大きくて重量がある機体を動かすために、パワーのあるエンジンを搭載していることから、車や重機と同じくその取扱い には細心の注意が必要です。この中には事故を招く5つのNG行動があり、実際にそれらの行動が原因で事故が発生しています。
 これらを事故事例とともにご紹介してゆきます。(本資料中の全ての写真は、実際の事故とは関係ありません。)



 
NG行動①:安全機能を無効化する(除雪機の下敷きになった事故)
【事故事例.1】
使用中、除雪機の下敷きになり死亡する事故が発生しました。
(2021年 広島県 80歳代男性)
→使用者がデッドマンクラッチ機構(※1)を大きな洗濯バサミで固定して安全機能を無効化した ため、除雪機を後進中に転倒した際に、手を離しても除雪機の走行が停止せず、使用者に乗り上げて下敷きとなったものと考えられます。

 
NG行動②:電源がONのまま離れる/NG行動③:人がいるのに使用する 
(除雪機に巻き込まれた事故)

【事故事例.2】
使用中、こどもがオーガ(回転部)に巻き込まれ、死亡しました。
(2021年 新潟県 9歳男児)
→除雪作業の途中、使用者が除雪機のエンジンを切らずに  オーガが回転したままその場を離れたため、周囲で遊んでいたこどもがオーガに接触したものと考えられます。

 
NG行動④:手をつっこんで雪をとる(除雪機内部に手を入れて負傷した事故)
【事故事例.3】
ブロワ(投雪口)に詰まった雪を取り除く際に、左手指を負傷しました(重症)。
(2022年 秋田県 50歳代女性)
→使用者がエンジンを掛けたまま、付属の雪かき棒(※2)を使用せずに、直接手で除去したため、回転部に触れ、事故に至ったものと考えられます。

 
NG行動⑤:屋内で使用する(一酸化炭素中毒になった事故)
【事故事例.4】
物置で除雪機のエンジンを掛けたままにして、一酸化炭素中毒で1名が死亡しました。
(2023年 北海道 80歳代男性)
→使用者が十分に換気されていない屋内で除雪機を使用したため、排気ガスにより屋内の一酸化炭素濃度が上昇し、一酸化炭素中毒に至ったものと考えられます。

 
■除雪機の使用時に気を付けるポイント

○安全機能は絶対に無効化しない。(NG行動①) 
デッドマンクラッチ機構(※1)のクラッチレバーを固定するなどの安全機能の無効化をすると、使用者が転倒などした際、いざとなったら止められません。
除雪機にひかれたり、巻き込まれたりするおそれがあります。

 
○エンジンを掛けたまま離れない。 ( NG行動②)
除雪機のエンジンを掛けたままその場を離れると、こどもが近づいて触れるなどし、思わぬ 事故につながるおそれがあります。一時的にその場を離れるときでも、必ずエンジンを切ってください。
 
○人が近くにいる時は使用しない。障害物に衝突しないよう注意する。(NG行動③ )
除雪作業をする際は、周囲に人がいないことを確認しましょう。特に背丈の低いこどもは死角に入りやすいので、十分に気を付けてください。
また、後進する際は、足下や後方の障害物を事前に確認し、転倒することがないよう気を付けてください。
 
○雪詰まりを取り除く際はエンジンを切り、雪かき棒(※2)を使用する。(NG行動④)
エンジンを掛けたまま雪を取り除く作業を行うと、巻き込まれて手を負傷するおそれがあります。雪が詰まった場合は、エンジン及び回転部の停止を確認し、直接手で行わず、必ず備え付けの雪かき棒を使用して取り除いてください。
 
○屋内や換気の悪い場所ではエンジンを掛けたままにしない。(NG行動⑤ )
アイドリング中の除雪機の排気には一酸化炭素が多く含まれています。一酸化炭素は無色・無臭で、発生に気が付きにくく、また非常に毒性の強い気体です。閉め切った屋内で除雪機のエンジンを掛けたままにすると、短時間で一酸化炭素の濃度が高くなり非常に危険です。
 除雪機は始動/停止も含め風通しの良い屋外で使用しましょう。エンジンを切った状態で、手で押して移動できない大型の除雪機等の場合は、窓などの開口部を開放して十分な換気が取れていることを確認してから、「屋内で始動し速やかに屋外に出る」、「屋内にしまったら速やかにエンジンを切る」などの対策をしてください。
 
※1  デッドマンクラッチ機構
使用者が操作ハンドル(クラッチレバー)から手を離すと、自動的に回転部及び走行が停止する安全機能。使用者の手を離れて作動することを防ぐものです。
除雪機のメーカーによっては、説明書などで呼称を「走行クラッチレバー」として紹介しているものもあります。
除雪機安全協議会では、既に2004 年 4 月から協議会加盟メーカーの除雪機(歩行型)においてデッドマンクラッチ機構を標準装備とすることで規定化され、導入されたものです。さらに2021年には車両重量 350kg 以上の除雪機には、後進時非常停止バーも標準装備とすることが規定化されました。これは2023年度生産分から適用されています。
これら除雪機安全協議会の自主規格に適合した除雪機にはSSS(Snowthrowers-Safety-Standard)マーク が貼付されています。

除雪機安全協議会:http://www.jfmma.or.jp/jyoankyo.html
 
※2 雪かき棒(スノーバー)
除雪機安全協議会 「歩行型ロータリ除雪機の安全規格」では、除雪機には、ブロワの投雪口に詰まった雪を取り除くために雪かき棒を標準装備することとされています。
 

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2.製品事故収集情報

◆◆◇    消費生活用製品の事故情報収集状況    ◇◆◆
(10月27日~11月9日 受付71件)
     NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
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製品名                 (事故状況と件数)
 
1. エアコン             ( 火災等 6件 )
2. 冷蔵庫・冷凍庫           ( 火災等 6件 )
3. リチウムイオン電池式掃除機    ( 火災等 5件 )
4. 太陽光発電器(パワコン)                ( 火災等 4件 )
5. スピーカー(充電式)                      ( 火災等 3件 )
5. ガスこんろ                                 ( 火災等 3件 )
5. 電気シェーバー                           ( 火災等 3件 )
5. 照明器具                                    ( 火災等 3件 )
========================================================
 今回、件数上位の製品には、今回統計的なトピックはございません。

◇最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
 
■事故情報の提供をお願いいたします。
 事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
 

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3.リコール情報

◆株式会社オーディオテクニカ(法人番号:4012301000450)
「ワイヤレスイヤホン」 2024/11/15(HP)
【詳細】https://www.audio-technica.co.jp/product/notice/18
 
◆株式会社アシックス(法人番号:8140001005877)
「靴(ラグビー用)」 2024/11/12(HP)
【オンライン受付フォーム(24時間)】https://www.asics.com/jp/ja-jp/mk/support/important/2024/a310
【詳細】https://www.asics.com/jp/ja-jp/mk/support/important/2024/a310
 
◆株式会社ノジマ(法人番号:4021001013588)
「モバイルバッテリー」 2024/11/08(HP)
【オンライン受付フォーム(24時間)】https://www.nojima.co.jp/support/contact/
【詳細】https://www.nojima.co.jp/wp-content/uploads/2024/11/20241110_ELSONIC_portableBatteryCharger.pdf
 

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4.その他の製品安全情報

◆◆◇  「NITE SAFE-Lite」のご案内 ◇◆◆
 
 NITE は、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する情報を発信しており、NITE のウェブサイトで、製品事故の調査結果、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを提供しています。その中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、「NITE SAFE-Lite」というサービスを提供しています。
 
 「NITE SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、6 万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。
 
 「NITE SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる危険性やその場合の被害状況などが「見える化」され、事故の未然防止につながります。
 
令和6年4月1日、「SAFE-Lite」は「事故情報検索データベース」と「リコールデータベース」を統合し、「NITE SAFE-Lite」となりました。
 
【NITE SAFE-Lite】
https://safe-lite.nite.go.jp/
 
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       ◆◆◇ 消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について ◇◆◆
 
                                    消費者庁
 
  消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告
  のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
  
11/22 18件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241122_01.pdf
11/19 09件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241119_01.pdf
11/15 21件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241115_01.pdf
11/12 10件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241112_01.pdf
 
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◆◆◇ Instagram アカウントのご案内 ◇◆◆
 
 NITEでは、公式アカウントを開設しています。
 インスタグラムでも、シーズンに合わせて、皆様の生活の安全を守るためにどんどん発信していきますので、フォローやいいねをお待ちしております!
 
 Instagramアカウント→@nite_japan

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編集後記

 除雪機とはまったく無縁のわたくしですが、農家の出で、若い頃は耕うん機(歩行用トラクタ)には親しんでおりました。除雪機のオーガと同じく耕うん機には田を耕す回転爪(耕うん爪)があり危険な農機具ですが、昔は手放し運転をさせていた記憶があります。
 耕うん機の世界も、デッドマンクラッチ機構が装備され、安全配慮がされています。家庭菜園などで小型耕うん機をお使い方は、この機会にお持ちの耕うん機の安全機構と使用上の注意について確認されては如何でしょうか。今回ご紹介した注意点の内容が大きなヒントになるのではなることでしょう!

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図