バイオレメディエーションとは?
バイオレメディエーション(Bioremediation)とは、微生物や植物等の生物が持つ化学物質の分解能力、蓄積能力などを利用して土壌や地下水等の汚染浄化を図る技術のことをいいます。
もともと自然界には汚染物質を分解できる微生物が存在するので、それらを活性化することで、浄化を促進する浄化手法です。
バイオレメディエーションのメリット
- コストが安い。
- 広範囲におよぶ汚染の浄化が可能。
- 原位置での浄化、操業中でも浄化が可能。
- 常温・常圧のためエネルギーをあまり必要としない。
- 浄化に伴う環境負荷が小さい
バイオレメディエーションのデメリット
- 浄化に時間がかかる(浄化期間の不確定さ)。
- 高濃度汚染には不向き。
- 複数の汚染物質が含まれる場合の浄化が難しい。
- 浄化の過程で、有害な物質が生成する可能性がある。
- 環境中での微生物利用に対する社会的受容性の低さ(安全性への不安)。
バイオスティミュレーションとバイオオーグメンテーション
バイオレメディエーションには、大きく分けて2通りの手法があります。 1つはバイオスティミュレーション(biostimulation:stimulation=刺激)、 もう1つはバイオオーグメンテーション(bioaugmentation:augmentation=添加)です。
バイオスティミュレーションは、汚染地域に元々生息している微生物を“刺激”して、汚染物質の分解を促進させようという手法です。 微生物が増殖するためには、エネルギー源となる有機物(この場合は汚染物質)が存在するだけでは不十分で、 温度・pH ・水分・酸素・栄養塩(窒素、リンなど)など様々な環境要因が整っていなければなりません。 これらのうちのどれかが欠けていると、それが制限要因となって、微生物の増殖は抑えられ、その結果として汚染物質の分解も進まなくなります。
そこでバイオスティミュレーションでは、人為的な操作を加えて自然環境を微生物の増殖しやすい条件に近づけてあげます。 そうすることにより、微生物の増殖が“刺激”され、汚染物質の分解が促進されることを狙うのです。 ただし、微生物の増殖しやすい条件に近づけるといっても、自然環境中では自ずと限界があります。 実際の操作として行われるのは、一般的には、栄養塩の添加と酸素の供給です。
一方、バイオオーグメンテーションは、あらかじめ培養しておいた分解菌を汚染地域に“添加”する手法です。 バイオスティミュレーションでは、汚染地域に元々分解菌が存在することが前提になっています。 したがって、分解菌の数が極端に少ない場合や、あるいは全く存在しない場合、バイオスティミュレーションは行うことができません。 そのような場合に、人為的に分解菌を“添加”して、汚染物質を分解させようとするのが、バイオオーグメンテーションです。
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