NBRCニュース 第77号
NBRCニュース第77号をお届けします。今号からメールマガジンのデザインを一新し、HTML形式のメールで配信しています。スマートフォンなどでも読みやすくなりました。最後までお楽しみいただけると幸いです。なお、HTMLメールを受信できない読者の皆様には、従来どおりのテキスト形式のメールを配信しております。
今号の内容
1.
新たにご利用可能となった微生物株
酵母では、低温下でコンポストを製造する手法の発明に使用されたCandida austromarina NBRC 115581およびGeotrichum candidum NBRC 115582を公開しました。いずれもわさびの食品加工廃棄物コンポストより分離された株で利用上の制限は付されておりません。糸状菌では、熱帯性の菌寄生菌Hypomyces / Cladobotryumの基準株8株(NBRC 115423~115429, NBRC 115433)を公開しました。赤い色素を産生するグループとして報告されています。
【新たに分譲を開始した微生物資源】
https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/nbrc/new_strain/new_dna.html
【新たに分譲を開始した微生物資源】
https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/nbrc/new_strain/new_dna.html
2.
あなたの活用例教えてください(6)
ラカンセア酵母を用いた発芽玄米発酵液の開発ストーリー
(株式会社東洋発酵研究開発部 平松 直人)
■はじめに
2020年、私たちは化粧品用途の機能性原料として、ラカンセア酵母を用いた発芽玄米発酵液(商品名:YUKIME®)をリリースしました。本発酵液は無農薬・無化学肥料・合鴨農法でつくられた北海道品種「ゆきひかり」の発芽玄米を酵素処理した後、Lachancea kluyveriで発酵させてろ過精製したもので、肌に対する様々な機能性が確認された原料となります。今回は、その開発ストーリーの一端をご紹介させていただきたいと思います。
2020年、私たちは化粧品用途の機能性原料として、ラカンセア酵母を用いた発芽玄米発酵液(商品名:YUKIME®)をリリースしました。本発酵液は無農薬・無化学肥料・合鴨農法でつくられた北海道品種「ゆきひかり」の発芽玄米を酵素処理した後、Lachancea kluyveriで発酵させてろ過精製したもので、肌に対する様々な機能性が確認された原料となります。今回は、その開発ストーリーの一端をご紹介させていただきたいと思います。
発芽玄米
■開発経緯
化粧品業界において、セラミドは肌のバリア機能を高めるための重要な成分として広く認知されています。2018年、私たちはこのセラミドを有効成分とする機能性化粧品原料の開発に着手することにしました。弊社は社名に”発酵”とあるように、30年以上にもわたって発酵技術を取り入れたモノづくりを行ってきましたから、本原料開発においても発酵技術を活用することは必然でした。いろいろと調査を行う中で、ある種の酵母がセラミド(グルコシルセラミド)を合成するという文献を見つけました(1)。そこで私たちはこの情報を基に、セラミド合成酵母を用いた発酵液の開発を進めることにしました。
■酵母の選定
上述した文献に記載されている酵母を選択するにあたって、私たちは特に化粧品原料としてリリースする際のイメージ性を重要視しました。というのも、化粧品原料を化粧品に配合する際、必ず必要となるのが化粧品成分表示名称です。微生物を用いた発酵液の場合、この表示名称には微生物の属名が必ず入ります。例外として、その原料が微生物そのものである場合は属名と種小名の両方が入ります(「エンテロコッカス・フェカリス」など)。ですから、世間的にイメージの悪い微生物は極力使用したくないのです。例を挙げると、日本化粧品工業連合会の「化粧品の成分表示名称リスト」において”サッカロミセス(Saccharomyces属酵母)”で検索すると、収載されている全15,320成分(2022年8月5日現在)の内186件がヒットしますが、”カンジダ(Candida属酵母)”では8件、”ピチア(Pichia属酵母)”では11件しかヒットしません。ですから、このような背景も勘案しながら今回の微生物由来セラミド開発に使用する酵母選定を行ったわけですが、残念ながらイメージのよい酵母の代表格であるSaccharomyces属酵母は、グルコシルセラミド合成酵素に関する遺伝子が欠損しているため、候補とはなりませんでした。そこで代わりとして選択したのが、サワービール製造にも用いられるKluyveromyces属酵母とLachancea属酵母でした。
さて、私たちがこれらの酵母を選定するにあたり活用したのが、NITEが提供しているスクリーニング株(RD株)でした。開発当時はNBRC株と比べて知名度も低く、また利用しているユーザーの方も少なかったと聞いておりましたので、RD株の中からKluyveromyces属及びLachancea属の計10株を選択し、グルコシルセラミド生産量を指標とした候補株の選抜を進めることにしました。グルコシルセラミドの評価方法は既報を基に行いました(2,3)。その結果、10株全てがグルコシルセラミドを生産することが判明し、その生産量から6株(Kluyveromyces属5株、Lachancea属1株)に絞り込みました。
なお、今回開発する原料はあくまで化粧品用途であるため、製品リリース後のプロモーション活動を考えたときに、有効成分含有量が高いという特徴以外にも、上述した「原料イメージの良さ」が必ず求められます。そこで、候補となった6株の分離源を調べてみると、イチジクから分離されたLachancea属酵母以外は、全てExcrement(排泄物)やDecayed Plant(腐敗植物)など、お世辞にも美しいとは言えない分離源ばかりでしたので、必然的にLachancea属酵母を本素材開発における候補株として選定することになりました。
化粧品業界において、セラミドは肌のバリア機能を高めるための重要な成分として広く認知されています。2018年、私たちはこのセラミドを有効成分とする機能性化粧品原料の開発に着手することにしました。弊社は社名に”発酵”とあるように、30年以上にもわたって発酵技術を取り入れたモノづくりを行ってきましたから、本原料開発においても発酵技術を活用することは必然でした。いろいろと調査を行う中で、ある種の酵母がセラミド(グルコシルセラミド)を合成するという文献を見つけました(1)。そこで私たちはこの情報を基に、セラミド合成酵母を用いた発酵液の開発を進めることにしました。
■酵母の選定
上述した文献に記載されている酵母を選択するにあたって、私たちは特に化粧品原料としてリリースする際のイメージ性を重要視しました。というのも、化粧品原料を化粧品に配合する際、必ず必要となるのが化粧品成分表示名称です。微生物を用いた発酵液の場合、この表示名称には微生物の属名が必ず入ります。例外として、その原料が微生物そのものである場合は属名と種小名の両方が入ります(「エンテロコッカス・フェカリス」など)。ですから、世間的にイメージの悪い微生物は極力使用したくないのです。例を挙げると、日本化粧品工業連合会の「化粧品の成分表示名称リスト」において”サッカロミセス(Saccharomyces属酵母)”で検索すると、収載されている全15,320成分(2022年8月5日現在)の内186件がヒットしますが、”カンジダ(Candida属酵母)”では8件、”ピチア(Pichia属酵母)”では11件しかヒットしません。ですから、このような背景も勘案しながら今回の微生物由来セラミド開発に使用する酵母選定を行ったわけですが、残念ながらイメージのよい酵母の代表格であるSaccharomyces属酵母は、グルコシルセラミド合成酵素に関する遺伝子が欠損しているため、候補とはなりませんでした。そこで代わりとして選択したのが、サワービール製造にも用いられるKluyveromyces属酵母とLachancea属酵母でした。
さて、私たちがこれらの酵母を選定するにあたり活用したのが、NITEが提供しているスクリーニング株(RD株)でした。開発当時はNBRC株と比べて知名度も低く、また利用しているユーザーの方も少なかったと聞いておりましたので、RD株の中からKluyveromyces属及びLachancea属の計10株を選択し、グルコシルセラミド生産量を指標とした候補株の選抜を進めることにしました。グルコシルセラミドの評価方法は既報を基に行いました(2,3)。その結果、10株全てがグルコシルセラミドを生産することが判明し、その生産量から6株(Kluyveromyces属5株、Lachancea属1株)に絞り込みました。
なお、今回開発する原料はあくまで化粧品用途であるため、製品リリース後のプロモーション活動を考えたときに、有効成分含有量が高いという特徴以外にも、上述した「原料イメージの良さ」が必ず求められます。そこで、候補となった6株の分離源を調べてみると、イチジクから分離されたLachancea属酵母以外は、全てExcrement(排泄物)やDecayed Plant(腐敗植物)など、お世辞にも美しいとは言えない分離源ばかりでしたので、必然的にLachancea属酵母を本素材開発における候補株として選定することになりました。
Lachancea kluyveri
■培養条件検討…でも、その前に
使用する酵母が確定したので、いよいよ培養条件の検討へと進んでいきたいところではあるのですが、弊社の場合はその条件検討の前に「開発する化粧品原料の化粧品(最終製品)への配合割合」を設定します。なぜこのようなことを行うのかと言いますと、1つは原料の販売戦略を組み立てるために必要だから、そしてもう1つは原料の配合割合によって、原料単体における安全性担保に対する考え方を変える必要があるからです。
化粧品は主に水溶性成分(水、アルコール類)、油性成分(高級脂肪酸、シリコーン等)、粉末成分(ファンデーション等のパウダータイプ製品の場合は無機粉体、パール剤等)、界面活性剤で構成されており、これらの成分が製品の約70~100%を占めています。これら以外の成分にあたるものとしては、保存性や安定性を高めることを目的とした防腐剤やキレート剤、そして製品の特長を打ち出すための機能性素材(美容成分)などがあります。今回私たちが開発した原料はこの機能性素材にあたり、通常は1%未満の割合で化粧品に配合されることがほとんどです。化粧品には「化粧品に含まれるすべての成分を表示する」という全成分表示義務があり、配合量の多い順に表示されます(配合成分1%以下は順不同)。多くの化粧品では水が最も多く配合されていますので、一番初めに「水」と表示されることが多いのですが、発酵液は元々水ベースであり、機能性素材でありながら水溶性成分として置き換えることができます。従って、その配合割合を高めた製品では、発酵液を成分名称として上位に表示させることが可能となり、他製品との違いをアピールできるのです。ですから、培養条件検討前に、まずは原料の打ち出し方にもつながる化粧品への配合割合を設定するのです。ここで、「最初から高配合仕様にすればいいのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそういう訳にもいきません。なぜなら、高配合仕様には上述したようなメリットがある一方で、リスクも大きいからです。それが2つ目の「原料単体における安全性担保に対する考え方」につながります。
「安全である」というのは「許容不可能なリスクがないこと」と定義され(4)、リスクは「有害性」と「曝露量」の積で表すことができます。例えば、化粧品への原料配合割合を0.1%と10%で比較した場合、皮膚に対する曝露量には100倍もの差が出てくるわけですから、高配合仕様とする場合には必然的に原料の有害性を低くすることが求められます。ここで、有害性を引き起こす可能性のある発酵液中の主な因子としては、培地由来のタンパク質や発酵過程で生じる副産物等が考えられますから、これら成分を製造過程において十分に除去する必要が出てきます(各社腕の見せ所です)。つまり、高配合仕様で進める場合には、単純に有効成分の高濃度化検討だけを行えばよいわけではなく、むしろ有害性につながる成分をいかに少なくできるかに重きを置いて、培養条件の検討や精製工程の検討を行う必要があるのです。発酵による物質生産の醍醐味は、目的成分をいかに高めるかにあるわけです(少なくとも私はそう思っています)が、その気持ちを抑えてでも安全性を第一に考えないといけないところが化粧品原料開発の難しさでもあるのです。なお補足として、原料を配合する製品が化粧水やクリームのような一度付けたら肌に留まり続けるもの(リーブオン製品)と、洗顔料やシャンプーのようにすぐに洗い流すもの(リンスオフ製品)とでは曝露量に大きな違いが生じますから、配合割合の安全性担保に対する考え方は、最終製品の形態も見据えた上での評価が必要となることも付け加えておきます。
使用する酵母が確定したので、いよいよ培養条件の検討へと進んでいきたいところではあるのですが、弊社の場合はその条件検討の前に「開発する化粧品原料の化粧品(最終製品)への配合割合」を設定します。なぜこのようなことを行うのかと言いますと、1つは原料の販売戦略を組み立てるために必要だから、そしてもう1つは原料の配合割合によって、原料単体における安全性担保に対する考え方を変える必要があるからです。
化粧品は主に水溶性成分(水、アルコール類)、油性成分(高級脂肪酸、シリコーン等)、粉末成分(ファンデーション等のパウダータイプ製品の場合は無機粉体、パール剤等)、界面活性剤で構成されており、これらの成分が製品の約70~100%を占めています。これら以外の成分にあたるものとしては、保存性や安定性を高めることを目的とした防腐剤やキレート剤、そして製品の特長を打ち出すための機能性素材(美容成分)などがあります。今回私たちが開発した原料はこの機能性素材にあたり、通常は1%未満の割合で化粧品に配合されることがほとんどです。化粧品には「化粧品に含まれるすべての成分を表示する」という全成分表示義務があり、配合量の多い順に表示されます(配合成分1%以下は順不同)。多くの化粧品では水が最も多く配合されていますので、一番初めに「水」と表示されることが多いのですが、発酵液は元々水ベースであり、機能性素材でありながら水溶性成分として置き換えることができます。従って、その配合割合を高めた製品では、発酵液を成分名称として上位に表示させることが可能となり、他製品との違いをアピールできるのです。ですから、培養条件検討前に、まずは原料の打ち出し方にもつながる化粧品への配合割合を設定するのです。ここで、「最初から高配合仕様にすればいいのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそういう訳にもいきません。なぜなら、高配合仕様には上述したようなメリットがある一方で、リスクも大きいからです。それが2つ目の「原料単体における安全性担保に対する考え方」につながります。
「安全である」というのは「許容不可能なリスクがないこと」と定義され(4)、リスクは「有害性」と「曝露量」の積で表すことができます。例えば、化粧品への原料配合割合を0.1%と10%で比較した場合、皮膚に対する曝露量には100倍もの差が出てくるわけですから、高配合仕様とする場合には必然的に原料の有害性を低くすることが求められます。ここで、有害性を引き起こす可能性のある発酵液中の主な因子としては、培地由来のタンパク質や発酵過程で生じる副産物等が考えられますから、これら成分を製造過程において十分に除去する必要が出てきます(各社腕の見せ所です)。つまり、高配合仕様で進める場合には、単純に有効成分の高濃度化検討だけを行えばよいわけではなく、むしろ有害性につながる成分をいかに少なくできるかに重きを置いて、培養条件の検討や精製工程の検討を行う必要があるのです。発酵による物質生産の醍醐味は、目的成分をいかに高めるかにあるわけです(少なくとも私はそう思っています)が、その気持ちを抑えてでも安全性を第一に考えないといけないところが化粧品原料開発の難しさでもあるのです。なお補足として、原料を配合する製品が化粧水やクリームのような一度付けたら肌に留まり続けるもの(リーブオン製品)と、洗顔料やシャンプーのようにすぐに洗い流すもの(リンスオフ製品)とでは曝露量に大きな違いが生じますから、配合割合の安全性担保に対する考え方は、最終製品の形態も見据えた上での評価が必要となることも付け加えておきます。
このような考え方に基づいて、私たちは有効成分となるグルコシルセラミドの確保と原料安全性担保の両側面から培養条件検討を行い、最終的にYUKIME®は100%原液でも使用できる発酵液原料となりました。
化粧品原料YUKIME®
■セラミド合成酵母を使ったのに、セラミドが入っていない原料が完成
さて、上述したようにYUKIME®はグルコシルセラミドを有効成分とする化粧品原料として開発したわけですが、実はラカンセア酵母の培養過程においては確認されていたグルコシルセラミドが、最終製品中には含まれないということが判明しました。いろいろ調べていくと、その精製過程においてグルコシルセラミドが除かれてしまうことが分かったのです。安全性担保を意識し過ぎたあまり、肝心な有効成分を失うという失態を犯してしまったわけです。もちろん、ある溶媒を加えることで、その問題を解決できることも分かっておりましたが、「その溶媒を使用した際の肌トラブルのリスク」と「グルコシルセラミドは含まれないが、高配合させても安全性の高い発酵液」を天秤にかけたとき、私たちは後者を選択したのです。その選択が正しかったのか間違っていたのかは今でも分かりません。ただ、YUKIME®をご使用いただいたお客様から「無農薬栽培、酵母、発酵のナチュラルなイメージが製品コンセプトと合う」「肌なじみがすごくイイ」というお声を頂く度に、自然とホッとした気持ちが沸き上がってきます。
■おわりに
「セラミドを合成する酵母」で発芽玄米を発酵させた”セラミド含有化粧品原料”完成!!と華々しくデビューする予定だったところが、まさかのセラミドが入っていないというオチとなってしまいましたが、それでも本原料は様々な肌に対する機能性が確認されたことから、私たちは2020年5月にこのLachancea属酵母を使った2件の特許出願に至っております(特願2020-81057、特願2020-81058)。また、セラミドは含有していないものの、ラカンセア酵母という珍しい名前に興味を持たれ、そのまま製品の魅力に引き込まれていくお客様や、高配合ができる原料ということでお問合せを頂くお客様も多数いらっしゃいます。そういう意味では、セラミドが入っていなくても市場において一際輝くYUKIME®を作り出してくれたLachancea属酵母には感謝しかありません。
まだ原石の状態にあるRD株を、ぜひ皆様の手で磨き上げ、表舞台で眩いばかりの輝きを解き放つような商品の開発にご活用されてみてはいかがでしょうか。
【文献】
(1) Takakuwa et al. (2002). FEMS Yeast Res., 2, 533.
(2) Fujino, Ohnishi (1977). Biochim. Biophys. Acta, 486, 161-171.
(3) Gaver, Sweeley (1965). J. Am. Oil Chem. Soc. 42, 294-298.
(4) ISO/IECガイド51 (JIS Z 8051):安全側面-規格への導入指針
さて、上述したようにYUKIME®はグルコシルセラミドを有効成分とする化粧品原料として開発したわけですが、実はラカンセア酵母の培養過程においては確認されていたグルコシルセラミドが、最終製品中には含まれないということが判明しました。いろいろ調べていくと、その精製過程においてグルコシルセラミドが除かれてしまうことが分かったのです。安全性担保を意識し過ぎたあまり、肝心な有効成分を失うという失態を犯してしまったわけです。もちろん、ある溶媒を加えることで、その問題を解決できることも分かっておりましたが、「その溶媒を使用した際の肌トラブルのリスク」と「グルコシルセラミドは含まれないが、高配合させても安全性の高い発酵液」を天秤にかけたとき、私たちは後者を選択したのです。その選択が正しかったのか間違っていたのかは今でも分かりません。ただ、YUKIME®をご使用いただいたお客様から「無農薬栽培、酵母、発酵のナチュラルなイメージが製品コンセプトと合う」「肌なじみがすごくイイ」というお声を頂く度に、自然とホッとした気持ちが沸き上がってきます。
■おわりに
「セラミドを合成する酵母」で発芽玄米を発酵させた”セラミド含有化粧品原料”完成!!と華々しくデビューする予定だったところが、まさかのセラミドが入っていないというオチとなってしまいましたが、それでも本原料は様々な肌に対する機能性が確認されたことから、私たちは2020年5月にこのLachancea属酵母を使った2件の特許出願に至っております(特願2020-81057、特願2020-81058)。また、セラミドは含有していないものの、ラカンセア酵母という珍しい名前に興味を持たれ、そのまま製品の魅力に引き込まれていくお客様や、高配合ができる原料ということでお問合せを頂くお客様も多数いらっしゃいます。そういう意味では、セラミドが入っていなくても市場において一際輝くYUKIME®を作り出してくれたLachancea属酵母には感謝しかありません。
まだ原石の状態にあるRD株を、ぜひ皆様の手で磨き上げ、表舞台で眩いばかりの輝きを解き放つような商品の開発にご活用されてみてはいかがでしょうか。
【文献】
(1) Takakuwa et al. (2002). FEMS Yeast Res., 2, 533.
(2) Fujino, Ohnishi (1977). Biochim. Biophys. Acta, 486, 161-171.
(3) Gaver, Sweeley (1965). J. Am. Oil Chem. Soc. 42, 294-298.
(4) ISO/IECガイド51 (JIS Z 8051):安全側面-規格への導入指針
3.
「微生物有害情報リスト」リニューアルのお知らせ
(2022年10月25日公開予定)
NBRCでは、微生物有害情報データベース(M-RINDA)で公開している、細菌/真菌の危険度分類や法規制情報を一元化した「微生物有害情報リスト」のリニューアルを令和4年10月25日に予定しております。
今回のリニューアルでは、ユーザーの皆様にとってより使いやすく、より分かりやすくなるように、細菌のリストのデザインやレイアウト、情報の記載方法などを一新いたします。リストに掲載している細菌の正名や異名の情報を1クリックでまとめて表示することができるようになりますので、それぞれの学名に対して、個々の出典資料で指定されている法令やBSL分類等の情報を一目で確認することができます。
今後も定期的に更新し、皆様のお役に立つ情報の提供や内容の充実に努めてまいりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
微生物有害情報リストは、以下URLより無料でご利用いただけます(URLの変更はありません)。
【微生物有害情報リスト】https://www.nite.go.jp/nbrc/mrinda/list/
今後も定期的に更新し、皆様のお役に立つ情報の提供や内容の充実に努めてまいりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
微生物有害情報リストは、以下URLより無料でご利用いただけます(URLの変更はありません)。
【微生物有害情報リスト】https://www.nite.go.jp/nbrc/mrinda/list/
4.
BioJapan 2022ブース出展とスポンサーセミナーのご案内
本年度もBioJapanでNBRCのブースを出展します。ぜひお立ち寄りください。また、スポンサーセミナーも行いますので、あわせてご参加ください。
・BioJapan 2022 ブース出展
日時:2022年10月12日(水)~14日(金)
場所:パシフィコ横浜
出展ブース番号:B-35
URL:https://jcd-expo.jp/ja/
※ご来場の際には事前登録が必要です。
日時:2022年10月12日(水)~14日(金)
場所:パシフィコ横浜
出展ブース番号:B-35
URL:https://jcd-expo.jp/ja/
※ご来場の際には事前登録が必要です。
・BioJapan 2022 スポンサーセミナー(オンライン配信)
「バイオものづくり推進のための微生物DNA情報の利活用を巡る国内外の情勢と将来像」
世界で急速に発展している遺伝子改変微生物による物質生産技術の開発では、DNA情報の利活用が成功の鍵となると予想されます。本セミナーでは、バイオものづくり分野における我が国の政策を紹介するとともに、INSDC:国際塩基配列データベースの国際協調の取組であるDNA等のデータ利用に関する環境整備と、DNA解析技術の向上に伴う微生物ゲノム情報の利活用に関する国内外の取組を解説し、微生物DNA情報の活用の将来像について議論します。また、バイオものづくり推進のためにNITEが構築した生物資源データプラットフォーム(DBRP)と、そのデータ拡充や機能拡張についても最新情報を提供します。
講演内容:
1.「本セミナー開催背景とNITEバイオ分野の最近の活動」
加藤愼一郎(NITEバイオテクノロジーセンター)
2.「国際塩基配列データベース連携(INSDC)の方針および生物多様性条約への対応」
有田正規 氏(情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 生命情報・DDBJセンター)
3.「マイクロバイオームからのMAG/SAGデータの取得と活用の展望」
森宙史 氏(情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 先端ゲノミクス推進センター)
4.「生物多様性条約におけるデジタル配列情報(DSI)について」
藤田克利(NITEバイオテクノロジーセンター 生物多様性支援課)
5.「生物資源データプラットフォームによる生物資源データとDNA情報の収集と活用の展望」
市川夏子(NITEバイオテクノロジーセンター バイオデジタル推進課)
配信期間:10月12日(水)~14日(金)
URL:https://biojapan2022.jcdbizmatch.jp/Lookup/jp/Seminar/u0?ke=nite&np=2&ob=5
※ご視聴の際には事前登録が必要です。
※NITEのウェブページからも開催概要をご案内しております。
URL:https://www.nite.go.jp/nbrc/information/biojapan2022.html
※BioJapan2022スポンサーセミナーの講演動画につきまして、イベント開催期間終了後も
ご視聴頂けるよう後日NITEウェブページにて公開いたします。
NITE公式YouTube:https://www.youtube.com/c/nite_JAPAN
「バイオものづくり推進のための微生物DNA情報の利活用を巡る国内外の情勢と将来像」
世界で急速に発展している遺伝子改変微生物による物質生産技術の開発では、DNA情報の利活用が成功の鍵となると予想されます。本セミナーでは、バイオものづくり分野における我が国の政策を紹介するとともに、INSDC:国際塩基配列データベースの国際協調の取組であるDNA等のデータ利用に関する環境整備と、DNA解析技術の向上に伴う微生物ゲノム情報の利活用に関する国内外の取組を解説し、微生物DNA情報の活用の将来像について議論します。また、バイオものづくり推進のためにNITEが構築した生物資源データプラットフォーム(DBRP)と、そのデータ拡充や機能拡張についても最新情報を提供します。
講演内容:
1.「本セミナー開催背景とNITEバイオ分野の最近の活動」
加藤愼一郎(NITEバイオテクノロジーセンター)
2.「国際塩基配列データベース連携(INSDC)の方針および生物多様性条約への対応」
有田正規 氏(情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 生命情報・DDBJセンター)
3.「マイクロバイオームからのMAG/SAGデータの取得と活用の展望」
森宙史 氏(情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 先端ゲノミクス推進センター)
4.「生物多様性条約におけるデジタル配列情報(DSI)について」
藤田克利(NITEバイオテクノロジーセンター 生物多様性支援課)
5.「生物資源データプラットフォームによる生物資源データとDNA情報の収集と活用の展望」
市川夏子(NITEバイオテクノロジーセンター バイオデジタル推進課)
配信期間:10月12日(水)~14日(金)
URL:https://biojapan2022.jcdbizmatch.jp/Lookup/jp/Seminar/u0?ke=nite&np=2&ob=5
※ご視聴の際には事前登録が必要です。
※NITEのウェブページからも開催概要をご案内しております。
URL:https://www.nite.go.jp/nbrc/information/biojapan2022.html
※BioJapan2022スポンサーセミナーの講演動画につきまして、イベント開催期間終了後も
ご視聴頂けるよう後日NITEウェブページにて公開いたします。
NITE公式YouTube:https://www.youtube.com/c/nite_JAPAN
5.
NITE講座(2022年)のご案内
“バイオものづくり”に向けた微生物の利活用基礎講座
NITEでは、“バイオものづくり”において活用が期待される微生物リソースとそれに関連する様々な情報を提供し、バイオとデジタルの融合による“バイオものづくり”の加速に貢献しています。今年のNITE講座では、微生物とその情報の入手、微生物に関連した分析技術、微生物の利活用に際しての関連法令やルールについて紹介します。昨年度の講座からアップデートされた情報についても提供します。ご参加をお待ちしております。
講座名:“バイオものづくり”に向けた微生物の利活用基礎講座
開催日時:2022年11月15日(火)13:00~16:00(途中参加・途中退出可)
開催形態:オンライン(Zoomウェビナー)
定員:450名
対象者:こんな方々にオススメです。
・企業・大学等において微生物やその情報・技術の利用に携わっている方
・これから微生物の利用を考えている方
・これらの業務のマネジメント、安全管理、法務知財に従事する方
参加費:無料(受講登録が必要です)
受講受付期間:9月30日(金)~11月15日(火)講義開始時刻(13:00)まで
(定員になり次第受付を終了します)
詳細・参加登録:https://www.nite.go.jp/nbrc/information/nite_lectureship_2022.html
第一部:微生物と関連情報の検索、入手
・NITEが提供する微生物(NBRC株とRD株)の入手方法、利用条件、製品化事例
・DBRP(生物資源データプラットフォーム)の活用法について
第二部:微生物に関連した分析技術
・マイクロバイオーム解析の基礎技術とNBRC微生物カクテルの活用
・質量分析装置による微生物生産物質の分析(カロテノイドを例として)
第三部:微生物の利活用に際しての関連法令、ルール
・特許微生物寄託制度について
・生物多様性条約に対応した海外遺伝資源の利用について
・遺伝子組換え生物の鉱工業利用に際して必要となる法令対応について
講座名:“バイオものづくり”に向けた微生物の利活用基礎講座
開催日時:2022年11月15日(火)13:00~16:00(途中参加・途中退出可)
開催形態:オンライン(Zoomウェビナー)
定員:450名
対象者:こんな方々にオススメです。
・企業・大学等において微生物やその情報・技術の利用に携わっている方
・これから微生物の利用を考えている方
・これらの業務のマネジメント、安全管理、法務知財に従事する方
参加費:無料(受講登録が必要です)
受講受付期間:9月30日(金)~11月15日(火)講義開始時刻(13:00)まで
(定員になり次第受付を終了します)
詳細・参加登録:https://www.nite.go.jp/nbrc/information/nite_lectureship_2022.html
第一部:微生物と関連情報の検索、入手
・NITEが提供する微生物(NBRC株とRD株)の入手方法、利用条件、製品化事例
・DBRP(生物資源データプラットフォーム)の活用法について
第二部:微生物に関連した分析技術
・マイクロバイオーム解析の基礎技術とNBRC微生物カクテルの活用
・質量分析装置による微生物生産物質の分析(カロテノイドを例として)
第三部:微生物の利活用に際しての関連法令、ルール
・特許微生物寄託制度について
・生物多様性条約に対応した海外遺伝資源の利用について
・遺伝子組換え生物の鉱工業利用に際して必要となる法令対応について
6.
NBRCの展示について
以下のイベント・学会にて、出展または発表いたします。ぜひご参加ください。
トーゴーの日シンポジウム2022
日時:2022年10月5日(水)
実施形態:オンライン
URL:https://biosciencedbc.jp/news/20220628-01.html
NITEの参加形態:ポスター発表
第74回日本生物工学会大会
日時:2022年10月17日(月)~20日(木)
実施形態:オンライン(プログラムの一部は対面で実施)
URL:https://www.sbj.or.jp/2022/
NITEの参加形態:WEB出展
日本微生物生態学会 第35回大会
日時:2022年10月31日(月)~11月3日(木)
会場:札幌コンベンションセンター(北海道札幌市白石区東札幌6条1-1-1)
URL:https://jsme-conference.net/
NITEの参加形態:ポスター発表
ビジネスマッチ東北 2022秋
日時:2022年11月10日(木)
会場:夢メッセみやぎ(宮城県仙台市宮城野区港3-1-7)
URL:http://bmtohoku.jp/
NITEの参加形態:ブース出展・WEB出展
日本生物工学会 培養技術研究部会第3回技術セミナー
日時:2022年11月10日(木)13:30~17:30
実施形態:オンライン(Zoom)
URL:https://www.sbj.or.jp/division/division_culture_tech_sympo_20221110.html
NITEの参加形態:セミナー発表
トーゴーの日シンポジウム2022
日時:2022年10月5日(水)
実施形態:オンライン
URL:https://biosciencedbc.jp/news/20220628-01.html
NITEの参加形態:ポスター発表
第74回日本生物工学会大会
日時:2022年10月17日(月)~20日(木)
実施形態:オンライン(プログラムの一部は対面で実施)
URL:https://www.sbj.or.jp/2022/
NITEの参加形態:WEB出展
日本微生物生態学会 第35回大会
日時:2022年10月31日(月)~11月3日(木)
会場:札幌コンベンションセンター(北海道札幌市白石区東札幌6条1-1-1)
URL:https://jsme-conference.net/
NITEの参加形態:ポスター発表
ビジネスマッチ東北 2022秋
日時:2022年11月10日(木)
会場:夢メッセみやぎ(宮城県仙台市宮城野区港3-1-7)
URL:http://bmtohoku.jp/
NITEの参加形態:ブース出展・WEB出展
日本生物工学会 培養技術研究部会第3回技術セミナー
日時:2022年11月10日(木)13:30~17:30
実施形態:オンライン(Zoom)
URL:https://www.sbj.or.jp/division/division_culture_tech_sympo_20221110.html
NITEの参加形態:セミナー発表
7.
日本認定機関協議会(JAC)主催オンラインセミナーのご案内
(NITE認定センターからのご案内)
NITEが国内の5つの認定機関と共に活動している「日本認定機関協議会(JAC)」主催のセミナーを、以下のとおり開催します。カーボンニュートラル、アセットマネジメント、オーガニック水産物の分野において、SDGsの達成にも役立つ認定・認証制度の事例を紹介いたします。ぜひご参加ください。
開催日時:2022年10月5日(水)13:00~16:00
開催形態:オンラインによるライブ配信(Zoomウェビナーを使用予定)
定員:400名
参加費:無料(参加登録が必要です)
受付期間:10月5日(水)開演(13:00)まで
詳細・参加登録:https://www.nite.go.jp/iajapan/jac/information/2022seminar.html
開催日時:2022年10月5日(水)13:00~16:00
開催形態:オンラインによるライブ配信(Zoomウェビナーを使用予定)
定員:400名
参加費:無料(参加登録が必要です)
受付期間:10月5日(水)開演(13:00)まで
詳細・参加登録:https://www.nite.go.jp/iajapan/jac/information/2022seminar.html
8.
令和4年度QSAR/リードアクロス講習会のご案内
(NITE化学物質管理センターからのご案内)
NITEでは、「令和4年度QSAR/リードアクロス講習会」を、以下のとおり開催します。本講座では、動物実験代替法のひとつであるリードアクロスの基礎とそれを支援するシステムであるQSAR ToolboxやHESS、生態毒性予測システム(KATE)について、その概要と基本的な操作方法、活用事例などを解説します 。ぜひご参加ください。
開催日時:2022年10月17日(月)10:00~16:15
開催形態:オンラインによるライブ配信(Webex)
参加費:無料(参加登録が必要です)
受付期間:10月7日(金)まで
詳細・参加登録:https://www.nite.go.jp/chem/qsar/ReadAcrossEdu_R4.html
開催日時:2022年10月17日(月)10:00~16:15
開催形態:オンラインによるライブ配信(Webex)
参加費:無料(参加登録が必要です)
受付期間:10月7日(金)まで
詳細・参加登録:https://www.nite.go.jp/chem/qsar/ReadAcrossEdu_R4.html
編集後記
新しいデザインのNBRCニュースはいかがでしたか?今後も読みやすいメールマガジンを目指して改良を重ねていきますので、引き続きご愛顧いただきますようお願いいたします。(MH)
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・NBRCニュースは偶数月の1日(休日の場合はその前後)に配信します。次号(第78号)は2022年12月1日に配信予定です。
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独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)バイオテクノロジーセンター(NBRC)
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