Vol.471 2月25日号 「ガス給湯器の事故」
Vol.471 2月25日号 「ガス給湯器の事故」【PDF:520KB】
今回は屋外設置式のガス給湯器のお話です。屋外設置式とは、家屋の外壁やベランダ、パイプシャフト(※1)に取り付けるタイプで、燃焼部と給排気部が完全に屋外にあるため、室内の空気が汚されることなく、浴室給湯やお風呂のお湯はり追いだき、洗面所、台所への給湯ができるものです。
NITEに報告される屋外設置式のガス給湯器の事故は年々減少傾向にはありますが、長期の使用や定期的な点検を怠っていたり、設置周りの状態に注意を払わなかったりしたことによる事故が依然見られます。これらの事故事例から注意すべきポイントをご紹介します。

※1 パイプシャフトとは、一戸建て住宅やマンションなどで、玄関通路や外廊下側に設けられている、給湯器、給排水管、ガス管等を納めるためのスペースです。点検扉付きのものもあります。
項目一覧
1. 屋外設置式ガス給湯器の事故
2. 製品事故収集情報(1月26日~ 2月08日 受付98件)
3. リコール情報 4件
4. その他の製品安全情報
・常勤職員(選考採用)募集のご案内
・製品事故情報、リコール情報検索ツール「NITE SAFE-Lite」のご案内
・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
・Instagram アカウントのご案内
1.屋外設置式ガス給湯器の事故
◆事故の実情
NITEが受け付けた過去10年間の製品事故情報のうち、屋外設置式ガス給湯器で原因が確定しているものについて、約4割が設置周りの状態に注意を払わなかったもの、約3割は経年劣化が事故につながったものでした。
◆事故事例
【事故事例.1】
浴室で一酸化炭素中毒により1名が死亡しました。(2020年 大阪府 30歳代男性 死亡事故)
→不完全燃焼防止装置を搭載していない製品で、長期使用(設置後30年以上)により送風ファンの不具合で空気不足となり、高濃度の一酸化炭素を含んだ排気ガスが住宅のパイプシャフト内に滞留し、浴室内まで流入したものと推定されます。
【事故事例.2】
ガス給湯器のフロントカバーが変形しました。(2023年 埼玉県 製品破損)
→長期使用(製造後約18年)により、給水電磁弁からの漏水が原因でガス通路が腐食し、腐食生成物の体積膨張により電磁弁が変形してガスが漏れ、滞留した未燃ガスに点火操作のスパークが引火して異常着火し、フロントカバーが変形したものと推定されます。
【事故事例.3】
使用中、排気口付近から出火し、周辺を焼損しました。(2022年 静岡県 拡大被害)
→ガス給湯器の周辺に干していた洗濯物が、強風の影響で排気口に接触して発火したものと推定されます。
【事故事例.4】
使用中、ガス給湯器から異音がし、フロントカバーが変形しました。(2021年 奈良県 年齢不詳女性 製品破損)
→パイプシャフト前に一時的に荷物等が立てかけられたことにより、給排気口が閉塞され、機器内に未燃ガスが滞留し、滞留した未燃ガスに点火操作のスパークが引火して異常着火し、フロントカバーが変形したものと推定されます。
◆気を付けるポイント
〇長期間使用した製品は点検を依頼する。
長期間使用すると、機器の劣化や磨耗により、火災やけがの原因になることがあります。屋外設置のため、錆びて雨水が浸入しやすく、重要部品が錆びて故障し、異常燃焼を起こす危険があります。また、不完全燃焼防止装置を搭載していない古い製品の場合、万一の異常燃焼による一酸化炭素(CO)中毒を防ぐことができません。長期間使用した機器は点検・買い換えの検討をお勧めします。
ガス給湯器の場合、法律上の点検義務はありませんが、(一社)日本ガス石油機器工業会(JGKA)やガス器具メーカーでは、使用開始から10年前後を目処に「あんしん点検」(有料・任意点検)を勧めています。
・安心点検なるほど読本(JGKA)
https://www.jgka.or.jp/gasusekiyu_riyou/flyer/pdf/anshintenken_naruhodo_dokuhon.pdf
契約しているガス会社系列の販売店で給湯器を購入されている場合、ガス事業法に基づく4年に一度の「ガス設備調査(消費機器調査)」のほかに、ガス会社独自の「ガス機器定期診断」サービスなどもあり、この時に点検してもらえる場合もあります。
【点検商法を使った悪徳業者にご用心!】
電話や訪問で突然給湯器の点検を持ち掛け、不安をあおって給湯器の交換を迫ったり、故障していると偽り、偽の部品を見せ交換したかのように見せ、修理代金を要求する悪質な事件が国民生活センターや、JGKA、ガス事業者などに多く報告されています。これらに騙されないためにも、点検制度を使って日ごろからの点検に努めましょう。
■点検詐欺にあわないポイント(JGKAからのお知らせ)
○JGKA自体は、ガス給湯器などの機器の点検は行いません。
○約束なく点検業者が突然自宅に訪問するようなことはありません。
このような点検訪問が来た場合、購入した販売店かメーカーに確認するか、最寄りの消費生活センター等(※2)に相談しましょう。
※2 消費者ホットライン「188(いやや!)」(全国共通3桁の電話番号)にて、地域の消費生活センター等につながります。
○点検を購入した販売店やメーカーに自ら点検を依頼した場合でも、点検を受ける前には、必ず訪問者の身分証、点検業者の連絡先等を確認しましょう。
○在宅中でも玄関ドアに鍵をかけ、不審な業者等が訪問してきた際はドア越しで対応し、しつこい場合は110番通報しましょう。『その場では点検させない、契約しない』を徹底しましょう。
・悪質な点検・修理業者にご注意ください‼(JGKA)
https://www.jgka.or.jp/information/pdf/tenkenshouhou_keihatsu_20241024.pdf#view=FitH
・警視庁 点検商法のホームページから
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/higai/shoho/tenken.html
■国民生活センターで2024年2月21日『給湯器の点検にご注意ください』として給湯器の点検商法に関してプレスリリースを出しています。
https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20240221_1.pdf
〇給湯器の排気口付近に可燃物を近づけない。
洗濯物などを外干しされる時は、ガス給湯器の近くには干さない。ベランダのスペースが限られている場合も、可能な限り給湯器近傍に干すことは避けましょう。
パイプシャフトの扉の前に板類やマットレスなどを立てかけると、排気口から出た排気熱で発火する恐れがあります。特に長尺の玄関置き配荷物などには注意しましょう。
〇給湯器の給排気口が塞がれていないか注意を払う
給排気口が塞がれると給排気が正常に行われず、未燃ガスが燃焼室に滞留して点火動作時のスパークにより異常着火し製品破損や発火の危険があります。次のようなことが起きていないか、給湯器の設置周りの状態に注意を払いましょう。
・外壁塗装工事などが行われている時は、工事作業の養生シート、養生テープで給排気口が塞がれていないか、給湯器の使用前に確認しましょう。
・冬の凍結対策、夏の台風対策などで給湯器を毛布やシート類で覆ったまま放置して使っていないか、給湯器の使用前には確認しましょう。
・給湯器周りを囲ったり、荷物を排気口前に置いたりしないようにしましょう。
2.製品事故収集情報
(1月16日~ 2月08日 受付98件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
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2. 洗面化粧台 ( 破損等 9件 )
3. 電気ポット・ケトル ( 火災等 4件 )
4. 石油ストーブ・ファンヒーター ( 火災等 3件 )
4. 電気暖房機(その他) ( 火災等 3件 )
4. 洗濯機 ( 火災等 3件 )
4. ガス給湯器・ガスふろがま ( 火災等 3件 )
4. 配線器具 ( 火災等 3件 )
洗面化粧台は全て同一メーカーのリコール事案(キャビネット落下)になります。
同数3件の製品はこの他に、パワコン、エアコン、電動アシスト自転車があります。
◇最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
■事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
3.リコール情報
◆アイリスオーヤマ株式会社(法人番号:3370001006799)
「電気毛布」 2025/2/18(HP)
【詳細】https://www.irisohyama.co.jp/safetyinfo/usb-electric-blanket/
◆株式会社アシックス(法人番号:8140001005877)
「靴(スニーカー)」 2025/2/17(HP)
【詳細】https://www.asics.com/jp/ja-jp/mk/support/important/2025/a326
◆株式会社ハック(法人番号:9122001025591)
「クッション(USB電源式ヒーター付)」 2023/11/27(HP)
【詳細】https://hac72.jp/news/news_warm_cushion_2311/
◆深圳市巨能星贝科技有限公司(llano)
「モバイルバッテリー」 2023/11/23(HP)
【詳細】http://www.llanollano.com/news/507587
4.その他の製品安全情報
○製品事故調査業務(中国語が堪能な方)
https://www.nite.go.jp/data/000156907.pdf
○製品事故調査業務
https://www.nite.go.jp/data/000156908.pdf
○製品リスクアセスメント業務
https://www.nite.go.jp/data/000156909.pdf
※採用内定者が確定した場合早期に募集を終了することがあります。
【選考採用職員の募集一覧ページ】
https://www.nite.go.jp/nite/saiyou/senkou/index.html
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◆◆◇ 「NITE SAFE-Lite」のご案内 ◇◆◆
「NITE SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、6 万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。
「NITE SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる危険性やその場合の被害状況などが「見える化」され、事故の未然防止につながります。
令和6年4月1日、「SAFE-Lite」は「事故情報検索データベース」と「リコールデータベース」を統合し、「NITE SAFE-Lite」となりました。
【NITE SAFE-Lite】
https://safe-lite.nite.go.jp/
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◆◆◇ 消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について ◇◆◆
消費者庁
消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告
のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_250221_01.pdf
02/18 10件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_250218_01.pdf
02/14 11件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_250214_01.pdf
02/12 07件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_250212_01.pdf
NITEでは、公式アカウントを開設しています。
インスタグラムでも、シーズンに合わせて、皆様の生活の安全を守るためにどんどん発信していきますので、フォローやいいねをお待ちしております!
Instagramアカウント→@nite_japan
編集後記
(編)も実は、昨年の10月に給湯器を付け替えました。我が家の場合、給湯能力が24号のお湯はり追いだき機能付きのものですが、交換費用は約46万円にもなりました。契約しているガス会社の「ガス機器定期診断」サービスでバーナーの燃焼が途切れる現象が見つかり給湯能力の低下が分かったためですが、前回10年前に交換した時は突然の故障で、その時の不便も痛感していたので、安心のため交換を決心した次第です。定期点検も大事だなあと思いました。それと取り付けているタイプの価格相場も事前に知っていれば金額面で動揺しないで済みますよ。ガス給湯器は、能力(号数)にもよりますが、10万円クラスの給湯機能のみのタイプから、風呂給湯付きになると50万円を超える高機能タイプと様々です。皆さんもご使用タイプの給湯器の価格相場をいちど調べておくことをお勧めします。
お問い合わせ
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター 製品安全広報課
-
TEL:06-6612-2066
FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図