製品安全

Vol.470 2月10日号 「ネット購入品の事故」


Vol.470 2月10日号 「ネット購入品の事故」【PDF:801KB】


 インターネットで製品を購入するとき何を基準にしていますか。「安さ」で判断して購入する方も多いかと思いますが、実はその製品、低価格と引き替えに安全性が確保されていないかもしれません。
 NITEに通知された製品事故のうち、入手先がインターネットでの購入品(以下、ネット購入品。)であった事故の割合が年々増加しています。また、近年海外の事業者が国内の輸入事業者を介さずにインターネット販売するケースが多くなっており、製品起因による火災等の事故も発生しています。
 そこで今回は粗悪な製品を購入しないために、ネット購入品の事故事例や購入の際に注意するポイントをご紹介します。また今年12月には、消費生活用製品安全法等の一部を改正してインターネット販売における規制も行われますので併せてご紹介します。
 

ページトップへ

項目一覧

1.ネット購入品の事故
2.製品事故収集情報(1月12日~ 1月25日 受付71件)
3.  リコール情報 1件
4.その他の製品安全情報
 ・「誤使用・不注意による製品事故リスクを低減した製品に対する表彰
  (+あんしん表彰)」説明会開催のご案内
 ・「第6回 KEC製品安全フォーラム 」のご案内
 ・製品事故情報、リコール情報検索ツール「NITE SAFE-Lite」のご案内
 ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
 ・Instagram アカウントのご案内

ページトップへ

1.ネット購入品の事故

◆ネット購入品による事故の実情
・NITEが受け付けた製品事故情報のうち、購入先が判明した事故の約3割がネットで購入されたものでした。(2023年度のNITE分析による)
・ネット購入品では、バッテリー※1(モバイルバッテリー、電動工具用バッテリー等)、照明器具(充電式のものを多く含む)、ガストーチといった製品での事故が多く報告されています。このうち、バッテリーの事故が最も多く、また、製造輸入事業者が不明のものがおおよそ6割を占めていました。
(※1)リチウムイオン電池以外の充電式の電池を内蔵する製品や電池単体を含む。

◆事故事例
【事故事例.1】
 ネット購入品の電動工具用バッテリーを充電中、バッテリー付近から出火し、周辺を焼損しました。(2024年 鳥取県 30歳代男性 拡大被害)
→非純正品として販売されたものによる事故です。バッテリーがリチウムイオン電池のセル間の電圧のアンバランスを検知する回路がない構造であったため、過充電により異常発熱し、焼損したものと推定されます。
 
【事故事例.2】
 ネット購入品のポータブル電源を充電中、ポータブル電源付近から出火し、周辺を焼損し、軽傷を負いました。 (2023年 愛知県 50歳代男性 軽傷・拡大被害)
→リチウムイオン電池が異常発熱した事故です。焼損が著しく、原因の特定はできませんでしたが、リチウムイオン電池セルが異常発熱して焼損したものと推定されます。
 
【事故事例.3】
 ネット購入品のLEDランプの電源プラグと延長コードの接続部付近から出火しました。 (2023年 兵庫県 年齢性別不明 製品破損)
→設計に問題があり異常発熱した事故です。電源プラグ栓刃がアルミニウム製で電気用品安全法の基準を満たさない材質であり、配線カシメ部が強度の低い構造であったため、カシメ部付近で異常発熱が生じ、焼損したものと推定されます。
 
【事故事例.4】
 ネット購入品の電気ファンヒーターを使用中、電気ファンヒーター付近から異音がして、出火しました。(2023年 佐賀県 70歳代男性 製品破損)
→製造工程で作業ミス等の不具合があった事故です。内部配線の取り回しに不具合があったため、首振り時に内部配線の接続部に過度な応力が繰り返し加わり、半断線が生じて異常発熱し、焼損したものと推定されます。
 
■インターネットで購入の際に気を付ける4つのポイント
○他の製品と比べて極端に安価ではないか確認する。
 例えば家電製品の場合、電気用品安全法等に定められた安全性の基準を満たすための試験等を実施しているため、通常その分の費用が製品価格に反映されています。極端に安い場合は、そのような安全性に対しての試験が実施されていなかったり、材質や設計等に必要なコストをかけていなかったりする可能性があり注意が必要です。
 
○信頼できる販売元かどうか確認する。
・説明文などが不自然な日本語表記ではないか
 WEBサイトの商品ページなどで、翻訳ソフトで変換された文章をそのまま使用する等により製品説明が不自然な日本語表記となっていたり、メーカー名の記載がなかったりする場合は注意が必要です。
 また、商品説明の他にレビューにおいても、高評価のレビュー内容が不自然な日本語になっている場合や販売数に対してわずか数日間で多くの高評価のレビューがある場合はやらせレビュー(さくらレビュー)※2の可能性がありますので注意してください。
(※2)やらせレビューとは、“使用したことがないのに雇われて高評価の偽レビューをする”といったもので、高評価を付けるとその報酬に金券類がもらえるものも存在しています。
 
・販売元の問い合わせ先が実在しており、日本語で対応が可能か
 不具合があった際に、日本語で対応できなかったり、連絡がつかなかったりするケースが発生しています。販売元の情報を確認し、サポートが日本語に対応しているかどうか、連絡先(電話番号や住所)が海外になっていないか、また、連絡先が実在するか確認するようにしましょう。
 なお、海外から直接個人輸入された電気用品安全法等で規制対象となっている製品については、必要な検査をせずにPSマーク※3をつけているケースもあり、安全基準を満たしていない場合があります。
(※3)PSマークとは、安全基準への適合を含む消費生活用製品安全法等の規則に準じた対応ができている製品に表示されるマークです。消安法ならPSC、電安法ならPSE、ガス事法ならPSTG、液石法ならPSLPGマークとなります。また、それぞれのリスクレベルに応じ、円にPSマークと、菱形にPSマークがあります。
 
○「PSE等のPSマーク」の近くに事業者名があるか確認する。

 電気用品安全法等で規制対象となっている製品は、国内の製造輸入事業者が技術基準を満たしていることを確認したのち、PSE等のPSマークを表示することができます。PSマークの近傍に製造輸入事業者名(略称や登録商標の場合もあります)が必要となります。
 

 また、“PSEマーク取得”等の記載があるものについても注意が必要です。PSマークは取得するものではなく、技術基準適合等の義務を果たした証として、事業者が自ら表示するものとなります。
 
○リチウムイオン電池搭載製品は廃棄方法を調べてから購入する。
 海外から直接個人輸入されたリチウムイオン電池搭載製品は、廃棄が困難となることがあります。自治体や家電量販店等で廃棄(回収)可能な製品か、“購入する前に”確認するようにしましょう。
 なお、ごみ収集車等の火災の原因になるため、一般のごみに混ぜないでください。

 
■製品事故以外の消費者庁による注意喚起
 ネットでの購入に関するトラブルや注意点について、製品事故以外に関しても消費者庁が注意喚起を行っています。

 明らかに粗悪品を購入してしまった場合は、各地域にある消費生活センターへご相談ください。インターネットモールによってはサポートセンターなどを設けており、返品や事業者への連絡を行っているところもあります。製品事故などのトラブルに遭われた場合は消費者ホットライン「188」まで連絡してください。
 
〇消費者庁「インターネット通販トラブル」
 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/internet/trouble/internet.html
 
■インターネット取引の拡大に対応するための新たな規制について
 消費生活用製品安全法等の一部が改正されます(2025年12月25日施行)。改正のポイントは以下の通りです。

○海外事業者の規制対象化(国内管理人の選任)
 海外事業者がインターネットモール等を利用するなどして、「消費生活用製品安全法等の規制対象製品(PSマーク対象製品)」を国内の輸入事業者を介さず国内消費者に直接製品を販売する場合、当該海外事業者を消安法等において届出を行える対象として明確化するとともに、規制の執行を担保すべく、当該海外事業者に対し、国内における責任者(国内管理人)の選任・届出を求めます。
 また、PSマーク対象製品を取り扱わないため国内管理人の選任が必要ない場合を含め、海外事業者が国内の輸入事業者を介さず国内消費者に直接「消費生活用製品」を販売し、国内で当該製品による重大製品事故(死亡、重傷、火災等)が発生した場合、それを認知した日から10日以内に当該海外事業者には消費者庁へ事故報告を届出する義務が生じます。

○インターネットモール等に対する出品削除要請等の創設
 インターネットモール等において提供される消費生活用製品について、国内消費者に危険が及ぶおそれがあると認められ、かつ、その製品の出品者によってリコール等の必要な措置が講じられることが期待できないときは、インターネットモールの運営事業者等に対し、当該製品の出品削除の要請等をできるようになります。
 
○届出事項の公表制度の創設
 届出事業者の氏名や特定製品の型式の区分、国内管理人の氏名等を公表する制度を新設します。
 
○法令違反行為者の公表制度の創設
 法律や法律に基づく命令等に違反する行為を行った者の氏名等について、公表することができる制度を新設します。
 
■NITEでは、2025年1月30日に注意喚起として『 ネット通販の落とし穴「ポチる」前に確認すべき4つのポイント~ネット購入品の事故増加を受けて新たな規制が開始されます~ 』をプレスリリースしています。
 今回ご紹介した内容についての詳しい情報を掲載しています。ぜひご覧ください。
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2024fy/prs250130.html
 

ページトップへ

2.製品事故収集情報

◆◆◇    消費生活用製品の事故情報収集状況    ◇◆◆
(1月12日~ 1月25日 受付71件)
     NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
========================================================       
製品名                 (事故状況と件数)
 
1.ヘアドライヤー                                  ( 破損等  12件 )
2.モバイルバッテリー                            ( 火災等     7件 )
3.石油ストーブ・ファンヒーター             ( 火災等     5件 )
3.ガス給湯器                                        ( 火災等     5件 )
5.配線器具                                           ( 火災等     4件 )
========================================================
 ヘアドライヤーは、全て電源コード付近からの火花・焼損事故で、現在原因を調査中です。

◇最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
 
■事故情報の提供をお願いいたします。
 事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
 

ページトップへ

3.リコール情報

◆株式会社CIO(法人番号:6120001203063)
「モバイルバッテリー」 2025/01/27(HP)
【詳細】https://connectinternationalone.co.jp/cionews/information/smartcoby_ex01/

ページトップへ

4.その他の製品安全情報

◆◆◇「誤使用・不注意による製品事故リスクを低減した製品に対する表彰
                  (+あんしん表彰)」説明会開催のご案内◇◆◆
 
経済産業省
 
 経済産業省は令和7年度より誤使用・不注意による製品事故リスクの低減を図った製品を対象とした新たな表彰制度(※)を開始します。これに先立ち、本表彰の概要についてご説明するとともに、本制度の応募にあたって必要となるリスクアセスメントについて学ぶイベントを開催します。
(※)制度の概要:https://www.meti.go.jp/product_safety/ps-award/risksystem/index.html
 
【開催日時】
 2025年 2 月20日(木) 14:00~15:30 オンライン開催!
【プログラム】1.表彰制度の概要説明
       2.リスクアセスメント講座
         ※当日は質疑応答の時間を設けます
【開催方法】Zoom(完全オンライン)
【定   員】300名
【参 加 費】無料
【申   込】2月17日(月)までに以下のURLからお申し込みください。
 https://forms.office.com/r/5qmEVD94zq
 
【お問合せ】以下の事務局までご連絡ください。
 MS&ADインターリスク総研株式会社・鶴田
 (E-mail:[email protected]
 
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
◆◆◇「第6回 KEC製品安全フォーラム 」のご案内◇◆◆
  -安全施策の原点とデジタル化時代に向けたあらたな挑戦-
 
一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
 
 IoT時代やDX時代と呼ばれる社会の変化により、製品のカテゴリの多様化に始まり、生産、調達、流通、ひいては消費者の意識までもが変化しています。これに伴い、安全性やリスクに対する考え方も大きく変化する時代にあります。
今回のフォーラムでは、変化する技術・社会に対し、これまで徹底されてきた安全施策を再確認するとともに、デジタル化時代の製品安全のあらたな取組みについて考える機会となるよう、製品安全分野の第一線でご活躍の方々を講師にお招きし、ご講演いただきます。

【開催日】 2025年 2月21日(金)
【会 場】CIVI研修センター新大阪東 5F E5 Hall
     ハイブリッド形式(会場とZoomオンライン併用)
【参加費】会員 5,500円 非会員 7,700円
【内 容】
[基調講演]
 社会・技術の変化が要請する安全探求方策のパラダイムシフト
  東北大学名誉教授 北村 正晴 氏
[基調講演]
 製品安全行政の概要と今般の動向
  経済産業省大臣官房 産業保安・安全グループ 製品安全課 佐々木  文人 氏
[講演3]
 労働者不足に対する人と機械の協業のための協調安全
  国立研究開発法人産業技術総合研究所
  情報・人間工学領域 インダストリアルCPS研究センター
  研究センター長   谷川 民生 氏
[講演4]
 リスクアセスメントで製品安全市場を創出
  独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター
  情報解析企画課 課長 酒井 健一
 
【詳細】https://www.kec.jp/img/committee/2024/psf24.pdf
【申込先】https://www.kec.jp/seminar/psf24/

 問合せ先:一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
      専門委員会推進部 事務局 藤田 泰男
      TEL:0774-29-9041 E-mail:[email protected]
 
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
◆◆◇  「NITE SAFE-Lite」のご案内 ◇◆◆
 
NITE は、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する情報を発信しており、NITE のウェブサイトで、製品事故の調査結果、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを提供しています。その中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、「NITE SAFE-Lite」というサービスを提供しています。
 
「NITE SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、6 万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。
 
「NITE SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる危険性やその場合の被害状況などが「見える化」され、事故の未然防止につながります。
 
令和6年4月1日、「SAFE-Lite」は「事故情報検索データベース」と「リコールデータベース」を統合し、「NITE SAFE-Lite」となりました。
 
【NITE SAFE-Lite】
https://safe-lite.nite.go.jp/
 
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
       ◆◆◇ 消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について ◇◆◆
 
                                    消費者庁
 
  消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告
  のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
 
02/07 11件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_250207_01.pdf
02/04 12件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_250204_01.pdf
01/31 25件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_250131_01.pdf
01/28 07件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_250128_01.pdf
 
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
◆◆◇ Instagram アカウントのご案内 ◇◆◆
 
 NITEでは、公式アカウントを開設しています。
 インスタグラムでも、シーズンに合わせて、皆様の生活の安全を守るためにどんどん発信していきますので、フォローやいいねをお待ちしております!
 
 Instagramアカウント→@nite_japan

ページトップへ

編集後記

 2月11日(火曜日)は「建国記念の日」で祝日なので、今号は1日早い10日(月曜日)発行です。
 さて私、2月11日はてっきり「建国記念日」だと思っていましたが、「建国記念の日」が正しいのですね。祝日名に助詞の”の”が付いていないものは、元旦、憲法記念日、天皇誕生日の3つですが、制定日自体に検討の余地がない(確定している)ものには助詞の”の”は付かない、制定の際、日づけが検討できた祝日には助詞の”の”が付く、とかの規則があるそうですね。今回のような法律のお話もそうですが、祝日名の付け方ひとつについても奥が深いです。

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図