Vol.468 1月14日号 「温活グッズの事故」
Vol.468 1月14日号 「温活グッズの事故」【PDF:500KB】
寒さ本番!暖房が欠かせない日が続きますね。この時期に活躍するのが「電気あんか」「カイロ」「電気マット」です。電気ストーブや石油ストーブなどと比べて温度が低く、優しく温めてくれる印象のある製品ですが、正しく扱わないと思いがけない事故を招くおそれがあります。
今回はこれらの暖房用製品について、注意すべきポイントをご紹介します。この冬も事故なく温かく過ごしましょう。
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項目一覧
1.「電気あんか」「カイロ」「電気マット」の事故
2.製品事故収集情報(12月8日~12月21日 受付77件)
3. リコール情報 9件
4.その他の製品安全情報
・「第6回 KEC製品安全フォーラム 」のご案内
・「蓄電池システムの安全性評価に関するNITE講座(オンラインセミナー)」
受講者募集のお知らせ
・製品事故情報、リコール情報検索ツール「NITE SAFE-Lite」のご案内
・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
・Instagram アカウントのご案内
1.「電気あんか」「カイロ」「電気マット」の事故
◆電気あんか
朝まで布団の中に入れたまま使用することで低温やけど(※1)を負ったり、電源コードの誤った取扱いが原因で発煙・焼損したりする事故が起きています。
【事故事例.1】
電気あんかを使用中、太ももに低温やけどを負いました。(2015年 兵庫県 10歳代男性 重症)
→製品は正常に動作しており、使用者が両膝に挟んで就寝し長時間太股に触れさせたことから低温やけどに至ったものと考えられ、製品に起因しない事故と推定されます。
なお、本体表示や取扱説明書には、「低温やけど防止のため、身体から離して使う、腰の下や足に挟んで使用しない、折り曲げて使用しない」旨、記載されていました。
【事故事例.2】
電気あんかを使用中、電源コードが焦げて周辺を焼損しました。(2018年 京都府 80歳代男性 拡大被害)
→本体側の電源コードプロテクター付近に過度な応力が繰り返し加わったため、芯線が断線し、スパークが生じたものと推定されます。
なお、取扱説明書には、「電源コードを傷つけたり、無理に曲げたり引っ張ったりしない。火災の原因になる。」旨、記載されていました。
■電気あんかで気を付けるポイント
○電気あんかは、布団を温めたあと、就寝時にスイッチを切るか、身体に触れない距離まで十分に離す。
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○電源コードを無理に曲げたり、引っ張ったりしない。電源コードを本体に巻き付けない。
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◆カイロ
体の同じ部分に長時間接触させて使用することから、低温やけどを負う事故が起きています。
【事故事例.3】
カイロを使用して就寝中、足に低温やけどを負いました。(2018年 神奈川県 70歳代女性 重症)
→使用者が就寝時の布団の中で使用が禁止されている当該製品を使用したことから、低温やけどに至ったものと推定されます。
■カイロで気を付けるポイント
○カイロを直接肌にあてない。使用部位、用途が指定されているものはそれを守る。
カイロは体温を超えて発熱するため、直接肌にあてたり貼ったりして使用するとやけどするおそれがあります。やけどをしないよう布で巻くなど伝わる熱を減らしてください。また、カイロには使用部位や用途が指定されているものがあります。用途に応じた注意事項がありますので、各カイロの注意事項を守るようにしましょう。
○就寝時には使わない。
就寝時に使用すると布団の中で蓄熱するなどカイロが通常よりも高温になりやけどするおそれがあります。また、就寝時は熱いことに気付きにくく、長時間身体に接触する可能性もあり、低温やけどなど重度のやけどとなるおそれがあります。
○同じ部位にあたる状態で長時間使わない。
熱いと感じない温度でも長時間同じ部位が温められると低温やけどとなるおそれがあります。長時間でない場合も、違和感や熱いと感じたら直ちに使用を中止してください。
○血流を圧迫する使い方をしない。
カイロをベルトやサポーターなどで圧迫するような使用をしないようにしましょう。圧迫によって血流が制限されると熱が放散されにくく、また、そうした状態で同じ部位が温められると短時間でやけどするおそれがあります。
○こたつの中や暖房器具の近くで使用しない。
こたつの中、暖房器具の近くなどでは、急激に温度が高くなるため、使用しないでください。
◆電気マット
布団の中に入れてやけどを負ったり、ソファーの上に敷いたり、保管時の誤った取扱いなどで、ヒーター線がよれて発煙・焼損したりする事故が起きています。
【事故事例.4】
電気マットを布団に入れて使用後、当該製品及び周辺を焼損する火災が発生しました。(2022年 富山県 90歳代男性 拡大被害)
→製品を就寝時の暖房器具として足元付近で使用していたことから、寝返りや足で蹴る等により、ヒーター線がずれて重なったため、部分的に過熱して焼損に至ったものと推定されます。
なお、取扱説明書には、「就寝用暖房器具として使用しない。座布団等保温性の良いものを長時間のせない。本体を折り曲げたり、しわの寄った状態で使用しない。」旨、記載されていました。
■電気マットで気を付けるポイント
○本体を折り曲げたり、しわの寄った状態で使用しない。
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○布団の中に入れて、就寝用の暖房器具として使用しない。
就寝時に使用すると電気マットへの接触に気づきにくく、低温やけどのおそれがあります。布団などの保温性のあるもので覆って使用すると、異常発熱によりやけどのおそれがあります。また、就寝時は寝返りや蹴るなどの動作により、ヒーター線がずれたり、傷付いたりする可能性がありますので、布団の中に入れて使用しないでください。
○針を刺すなど、本体内部のヒーター線を傷付けるような使い方をしない。
本体に針やピンを刺したり、いすや机など硬いもの、重いものを載せると本体内部のヒーター線を傷付けて故障するおそれがあります。
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温かいと感じる程度の温度でも、長時間にわたって同じところの皮膚に触れていると、皮膚温度が上がり、皮下の細胞組織などが壊死するため「低温やけど」になります。
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一般的な「やけど」は皮膚の表層のみで起こりますが、「低温やけど」は皮膚の深部にまで及び、皮下組織が壊死する場合があるため、重傷事故に至るおそれがあります。
特に高齢者の場合、若年者に比べて感覚が鈍く、熱源に接する時間が長くなるため、重症化する傾向があります。また、幼児や身体の不自由な方、糖尿病の方が使用する場合は特に注意が必要と言われています。
(出典:山田幸生「低温やけどについて」製品と安全第72号、製品安全協会)
※2 血流や皮膚感覚は個人差が大きく、接触時間によっては、44℃以下でも低温やけどになるおそれがあります。
■NITEでは2025年1月14日に注意喚起として、『就寝時の“足元”暖房にご用心!~電気あんか、カイロ、電気マットの取扱いに注意~』をプレスリリースしました。併せてご覧ください。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2024fy/prs250114.html
2.製品事故収集情報
(12月8日~12月21日 受付77件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
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2. 洗面化粧台 ( 破損等 5件 )
2. 電動工具用バッテリー ( 火災等 5件 )
2. 電気シェーバー ( 火災等 5件 )
5. 電動アシスト自転車 ( 火災等 4件 )
◇最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
■事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
3.リコール情報
◆藤沢工業株式会社(法人番号:5200001004537)
「ゲーミングチェア」 2025/01/06(HP)
【詳細】https://www.fujisawa-co.com/recall/
◆EcoFlow Technology Japan株式会社(法人番号:1010401145409)
「ポータブル電源」 2025/01/06(HP)
【詳細】https://www.ecoflow.com/jp/efdelta-recall-and-replacement
◆株式会社テイーエム(法人番号:5110001016104)
「ポータブル蓄電池」 2024/12/20(HP)
【詳細】https://www.tm-www.com/recall2024
◆デサントジャパン株式会社(法人番号:1120001200759)
「かばん(ゴルフ用)」 2024/12/17(HP)
【詳細】https://www.descente.co.jp/wp-content/uploads/2024/12/241217_%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%B3-%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%B0.pdf
◆株式会社final(法人番号:4010701019994)
「イヤホン」 2024/12/16(HP)
【詳細】https://final-inc.com/blogs/top_blog_ag/news-69
◆Zebra Japan株式会社(法人番号:5120001165296)
「玩具」 2024/12/13(HP)
【詳細】https://blog.jp.flyingtiger.com/news/zebrajapan-flyingtigercopenhagen-1733901181719-apparelcloud.news-f0767b83-03ef-43e7-8982-8dc2f780be70
◆株式会社ロストアロー(法人番号:6030001069217)
「雪崩ビーコン」 2024/11/26(HP)
【詳細】https://www.lostarrow.co.jp/info/notice/NT20241126_PP_Beacon_Recall.html
◆株式会社アキボウ(法人番号:9120101000440)
「折りたたみ自転車」 2024/10/30(HP)
【詳細】https://www.akibo.co.jp/news/pickup/2024103009.html
◆株式会社オカムラ(法人番号:3020001030157)
「椅子」 2024/09/10(HP)
【詳細】https://www.okamura.co.jp/corporate/info/2024/20240910.html
4.その他の製品安全情報
-安全施策の原点とデジタル化時代に向けたあらたな挑戦-
IoT時代やDX時代と呼ばれる社会の変化により、製品のカテゴリの多様化に始まり、生産、調達、流通、ひいては消費者の意識までもが変化しています。これに伴い、安全性やリスクに対する考え方も大きく変化する時代にあります。
今回のフォーラムでは、変化する技術・社会に対し、これまで徹底されてきた安全施策を再確認するとともに、デジタル化時代の製品安全のあらたな取組みについて考える機会となるよう、製品安全分野の第一線でご活躍の方々を講師にお招きし、ご講演いただきます。
【開催日】 2025年 2月21日(金)
【会 場】CIVI研修センター新大阪東 5F E5 Hall
ハイブリッド形式(会場とZoomオンライン併用)
【参加費】会員 5,500円 非会員 7,700円
【内 容】
[基調講演]
社会・技術の変化が要請する安全探求方策のパラダイムシフト
東北大学名誉教授 北村 正晴 氏
[基調講演]
製品安全行政の概要と今般の動向
経済産業省大臣官房 産業保安・安全グループ 製品安全課 佐々木 文人 氏
[講演3]
労働者不足に対する人と機械の協業のための協調安全
国立研究開発法人産業技術総合研究所
情報・人間工学領域 インダストリアルCPS研究センター
研究センター長 谷川 民生 氏
[講演4]
リスクアセスメントで製品安全市場を創出
独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター
情報解析企画課 課長 酒井 健一 氏
【詳細】https://www.kec.jp/img/committee/2024/psf24.pdf
【申込先】https://www.kec.jp/seminar/psf24/
問合せ先:一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
専門委員会推進部 事務局 藤田 泰男
TEL:0774-29-9041 E-mail:[email protected]
受講者募集のお知らせ(オンラインセミナー)
カーボンニュートラルを目指す上で不可欠な蓄電池システムを今後安全に使用していくためには、蓄電池システムの安全性に関する規格に基づいた試験を適切に行い、評価していくことがとても重要です。
本講座では、企業等で蓄電池及び定置用蓄電池システム関連の業務・研究等に携わっている方、今後携わる予定の方を主な対象として、蓄電池システムの安全性評価に関する基礎的な情報から丁寧に紹介します。
皆様のご参加をお待ちしております。
【講座名】蓄電池システムの安全性評価に関するNITE講座(オンラインセミナー)
【詳細】 https://www.nite.go.jp/gcet/nlab/nite-kouza_2024_nlab.html
【開催日時】2025年1月30日(木曜日)13:15~16:35
【開催形態】オンラインによるライブ配信(Webexウェビナー)
【定員】1,000名 (定員になり次第受付を終了します)
【対象者】こんな方々にオススメです。
・企業などで蓄電池及び定置用蓄電池システム関連の業務に携わっている方
・今後関わる予定がある方
・本講座にご興味のある方
【受講料】無料(受講登録が必要です。Webexも無料版で受講いただけます。)
【受講登録】https://nite.webex.com/weblink/register/r6431996832482bc398536b5e47d9b8cb
「NITE SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、6 万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。
「NITE SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる危険性やその場合の被害状況などが「見える化」され、事故の未然防止につながります。
令和6年4月1日、「SAFE-Lite」は「事故情報検索データベース」と「リコールデータベース」を統合し、「NITE SAFE-Lite」となりました。
【NITE SAFE-Lite】
https://safe-lite.nite.go.jp/
消費者庁
01/10 16件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_250110_1.pdf
01/07 18件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_250107_01.pdf
12/27 22件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241227_01.pdf
12/24 3件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241224_01.pdf
NITEでは、公式アカウントを開設しています。
インスタグラムでも、シーズンに合わせて、皆様の生活の安全を守るためにどんどん発信していきますので、フォローやいいねをお待ちしております!
Instagramアカウント→@nite_japan
編集後記
就寝用の「あんか」と言えば「電気あんか」が一般的ですが、昭和世代の私は「あんか」といえば、思い出すのは「豆炭あんか」です。夕方になると親が、ガスこんろや煉炭火鉢で豆炭に火を起こし、あんかを開いて中心の石綿部分にそっと豆炭を置き、蓋をして、ぼろ布で包んで布団の中に入れてくれました。寒い冬は親の愛情が特に懐かしくもなりますね。
お問い合わせ
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター 製品安全広報課
-
TEL:06-6612-2066
FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図