製品安全

Vol.464 11月12日号 「暖房器具の事故」


Vol.464 11月12日号 「暖房器具の事故」【PDF:668KB】


 寒い季節には欠かせない暖房器具ですが、毎年火災事故を含む多くの事故が発生しています。「去年は問題なく使えたのだから今年も大丈夫だろう。」そんな思い込みは事故のもと。安全に冬を乗り切るためには、シーズンはじめや日々の点検がとても大切です。
 2019年から2023年までの5年間にNITE(ナイト)に通知された主な暖房器具(※1)の中でも、電気ストーブ・ファンヒーター(以下、電気暖房器具)と石油ストーブ・ファンヒーター(以下、石油暖房器具)での事故が毎年約8割以上を占めています。
 今回は、電気暖房器具及び石油暖房器具について、それぞれ事故を防止するために点検方法や使用方法についてのポイントをご紹介します。

※1  石油ストーブ・石油ファンヒーター、電気ストーブ・電気ファンヒーター、ガスストーブ・ガスファンヒーター、オイルヒーター  の事故総数582件から調査しました。
 

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項目一覧

1. 電気暖房器具及び石油暖房器具の事故
2. 製品事故収集情報(10月6日~10月26日 受付129件)
3. リコール情報 6件
4.その他の製品安全情報
 ・ミプロ製品安全セミナーのご案内
  ~基礎から学ぶ 食器・キッチン用品の輸入届出と検査~
 ・「消費生活用製品安全法の改正について考える」シンポジウムのご案内
  地方創生SDGs官民連携プラットフォーム「安全とSDGs分科会」
 ・製品事故情報、リコール情報検索ツール「NITE SAFE-Lite」のご案内
 ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
 ・Instagram アカウントのご案内

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1.暖房器具の事故

○電気暖房器具
【事故事例.1】
 電気ストーブを焼損する火災が発生しました。
→製品の強弱切替え用に使用されているダイオードが不良品であったことにより、ダイオードが異常発熱し、出火したものと推定されます。当該品はリコール対象品でした。
 
【事故事例.2】
 電気ストーブを使用中、電源コード付近から火が出て床が焦げました。
→本体側の電源コードプロテクター付近に過度な応力が繰り返し加わったため、芯線が半断線し、短絡・スパークが生じたものと推定されます。電源コードの無理な屈曲や、引っぱりなどの取り扱い不備が原因です。
 
【事故事例.3】
 電気ファンヒーターを使用中、製品及び周辺を焼損する火災が発生し、1名が火傷を負いました。
→膝に掛けていたはんてんがずり落ちたことで、はんてんが当該製品に接触、又は放射熱により焼損したものと考えられます。
 
■電気暖房器具で気を付けるポイント
(1)お使いの製品がリコール対象品かどうかをこまめに確認しましょう。
 毎号でご案内している「NITE SAFE-Lite」から確認することができます。
 https://safe-lite.nite.go.jp/
 また、「消費者庁リコール情報サイト」でも確認することができます。
 https://www.recall.caa.go.jp/
 
(2)電源コードや電源プラグが変形・破損していないか確認しましょう。
・電源コード:被覆が破れていないか、亀裂が入っていないか確認しましょう。特に電源コードの本体側やプラグ側の根元付近を確認しましょう。
・電源プラグ:変形していないか、変色していないか、溶けていないか、コンセントに差したときに、緩く抜けやすくなっていないかを確認しましょう。
 

(3)使用時は、壁や周囲の家具、衣類などから指定された距離をとりましょう。カーテンや布団など燃えやすく動くものにも注意が必要です。また、就寝時や部屋を離れる際は電源を切るようにしましょう。可燃物が近接していたり接触したりしていると、放射熱による過熱や高温部への接触によって、火災になるおそれがあります。

 
(4)使い始めて次のような異常が認められた場合は、すぐに製品の電源を切って電源プラグを抜き、メーカーに相談してください。
・本体の一部が変色や変形している。
・使用中バチバチという異音がする。
・ヒーターの加熱、首振り動作、温風ファンが時々停止することがある。電源コードを動かした時に停止することがある。
・焦げ臭いにおいが消えない。異常に熱くなっている箇所がある。
 
(5)転倒時オフ機能(転倒時オフスイッチ等)が正常に作動するか確認しましょう。地震で製品が転倒した際やぶつかって製品が倒れてしまった際に、ヒーターの加熱をとめる大切な安全機能です。
 ヒーターが点いている状態でヒーター側を上向きに倒し、ヒーターの加熱が停止するか確認します。(火傷には十分ご注意ください。)もし、ヒーターの加熱が停止しない等の異常が認められた場合は、製品の電源を切って電源プラグを抜き、メーカーに相談してください。
 
○石油暖房器具
【事故事例.1】
 石油ストーブを使用中、石油ストーブ及び周辺を焼損する火災が発生し、2名が死亡しました。
→給油時に蓋の閉め忘か緩みでカートリッジタンクの口金が開いたため、当該製品にこぼれた灯油がかかり出火に至った可能性が考えられています。
 
【事故事例.2】
 石油ストーブを使用中、建物を全焼する火災が発生しました。
→近傍にあったポリタンクにガソリンの成分が認められたことから、ガソリンの誤給油により出火に至った可能性が考えられています。
 
【事故事例.3】
 石油ストーブを使用中、建物を全焼する火災が発生しました。
→当該製品の上部に干されていた洗濯物が落下して発火したものと考えられています。
 
■石油暖房器具で気を付けるポイント
(1)カートリッジタンクの給油口ふたが確実に閉まっていることと、漏れがないことを確認しましょう。また給油する際は、必ず先に消火してください。

 石油ストーブ等の石油燃焼機器は、2009年に消費生活用製品安全法の「特定製品」に指定され、2011年以降に販売された製品では給油口ふたが音や目視または感触などで閉まっていることの確認ができる機能があります。
 
(2)ガソリンを灯油とは別の場所で保管するなど、誤給油を防ぐための対策を徹底しましょう。また新しい灯油を使い、昨シーズンの灯油を使用しない(※2)ようにしましょう。
 誤ってガソリンや混合燃料を給油すると、少量の混入であっても火災のおそれがあります。灯油は灯油用ポリタンクなどの専用容器(※3)に、ガソリンは消防法に適合した金属製のガソリン携行缶に入れて保管し、間違わないように別の場所で保管しましょう。ラベル表示で区別するなどして誤給油を防ぐための対策を徹底しましょう。

※2 灯油は劣化するため、昨シーズンの燃料を持ち越して使用すると異常燃焼や多量の一酸化炭素が排出されるおそれがあります。
※3 灯油用のポリタンクは赤や水色などの樹脂製で、日本ポリエチレンブロー製品工業会(JBA)推奨ラベル、危険物保安技術協会(KHK)の試験確認済証、JISマーク(JIS Z 1710灯油用ポリエチレンかん)などが表示されています。

 
(3)電気暖房器具と同様に石油暖房器具も、壁や周囲の家具、衣類などから指定された距離をとりましょう。カーテンや布団など燃えやすく動くものにも注意が必要です。
 可燃物が近接していたり接触したりしていると、放射熱による過熱や高温部への接触によって、火災になるおそれがあります。

 
(4)ほこりがたまっていれば取り除いて下さい。
 使用を始める前に掃除を行い、シーズン中も定期的に掃除をしてください。特に石油ストーブの置台や、燃焼部位の近くなどにほこりがたまらないようにしてください。
 石油ストーブにほこりなどが堆積すると、燃焼状態が悪くなったり、炎が逆流して石油ストーブの下からあふれる「吹き返し現象」が生じてほこりに引火したりするおそれがあります。また、石油ファンヒーターでもほこりにより空気取込口が閉塞することで異常燃焼する事故が発生しています。

(5)対震自動消火装置が正しく作動することを確認してください。
確認方法としては、機器本体を前後に揺らしたときに、以下の動作が正常に行われているか確認してください。(確認方法の詳細は取扱説明書を確認してください。)
 ・【石油ストーブの場合】 芯を上げた状態から芯が下がりきること。
 ・【石油ファンヒーターの場合】 使用状態から停止すること。
 
■NITEでは2024年10月31日に注意喚起として『暖房、点検、ヨシ!~5つの点検で火災を未然に防ぎましょう~』をプレスリリースしました。
ご紹介した電気暖房器具、石油暖房器具の詳しい分析結果を掲載しています。また今回、神戸市消防局監修のもと、火災が発生した時の対処法を掲載しています。ぜひご覧ください。
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2024fy/prs241031.html
 
■新作映像資料
・電気ストーブ「8.火災を防ぐ5つの点検」
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/2024103102.html
・石油ストーブ「16.火災時の避難、消火の目安」
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/nenshou/20241031_00001.html
 

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2.製品事故収集情報

◆◆◇    消費生活用製品の事故情報収集状況    ◇◆◆
(10月6日~10月26日 受付129件)
     NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
========================================================       
製品名                 (事故状況と件数)
 
1. モバイルバッテリー        ( 火災等     12件 )
2. ノートパソコン・モバイル     ( 火災等        9件 )
3. ポータブル電源          ( 火災等        7件 )
4. 太陽光発電器(パワコン)      ( 火災等        6件 )
5. 照明器具・ランプ           ( 火災等        6件 )
========================================================
 件数上位の3位までは、リチウムイオン電池を使う製品になります。尚、リチウムイオン電池を用いた製品の合計としてはトータルで41件ありました。全て火災等の物的被害です。
(その他、リチウムイオン電池式掃除機 5件、アシスト自転車・電動バイク用リチウムイオンバッテリー3件 ほか)

◇最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
 
■事故情報の提供をお願いいたします。
 事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
 

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3.リコール情報

◆Zebra Japan株式会社(法人番号:5120001165296)
「ライト付きカチューシャ」 2024/11/7(HP)
【詳細】https://blog.jp.flyingtiger.com/news/zebrajapan-flyingtigercopenhagen-1730870974997-apparelcloud.news-236f88a8-d176-435e-b9b0-e858d263b0ad
 
◆セレクチュアー株式会社(法人番号:1010701018479)
「抱き枕」 2024/10/29(HP)
【商品名】ひんやりクールピロー抱き枕、クールピローミニ抱き枕
【販売期間】2024/04/10~2024/08/19
【オンライン受付フォーム(24時間)】https://www.angers-web.com/Form/Inquiry/InquiryInput.aspx
【その他】購入者に対してセレクチュアー株式会社から直接連絡をしている。
 
◆Stokke AS
「ベビーカー」 2024/10/25(HP)
【詳細】https://www.stokke.com/JPN/ja-jp/customer-service/safety-and-recall-information/safety-and-recall-information.html
 
◆ダイヤ株式会社(法人番号: 5011201003117)
「電気洗濯機」 2024/10/15(HP)
【詳細】https://www.daiya-idea.co.jp/housekeeping/2024/10/15/info-caution/
 
◆ベルキン株式会社(法人番号:6010001100949)
「リチウム電池内蔵充電器」 2024/10/07(HP)
【詳細】https://www.belkin.com/bpd005recall
 
◆株式会社村田製作所(法人番号:4130001030475)
「蓄電池システム」 2024/09/10(HP)
【詳細】https://corporate.murata.com/ja-jp/newsroom/news/company/general/2024/0911
 

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4.その他の製品安全情報

◆◆◇ ミプロ製品安全セミナーのご案内  ◇◆◆
~基礎から学ぶ 食器・キッチン用品の輸入届出と検査~
主催: 一般財団法人対日貿易投資交流促進協会(ミプロ)
 
 食品衛生法の対象である「器具」(食器、調理器具や調理家電等)を輸入通関する際の輸入届出と自主検査についてセミナーを開催します。
 現場を知る登録検査機関の講師が、輸入通関をスムーズに進めるための基本知識と留意点を解説します。
【日時】2024年11月28日(木)14:00~15:30
【開催方法】Zoomによるライブ配信
【受講料】無料
【申込みURL】https://krs.bz/mipro/m/anzen20241128?e_8052=5
 
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◆◇「消費生活用製品安全法の改正について考える」シンポジウムのご案内 ◇◆
 地方創生SDGs官民連携プラットフォーム「安全とSDGs分科会」
 
 11月は、経済産業省が呼びかける「製品安全総点検月間」です。近年、ECサイトの市場規模は拡大の一途を辿っており、ネットモール等を通じて消費者が直接海外事業者から商品を購入するケースも増加しています。その一方で、安全性が十分でない海外製品による事故が増加している状況などを受け、本年6月、「消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律」が公布されました。
 今回のシンポジウムでは、法改正の背景や、消費者・事業者(製造・輸入・流通・販売)への影響等について考えます。
 
また今年は、この機会に併せて、製品安全意識に関するアンケートを実施します。
○アンケートへのご回答はこちらから
https://questant.jp/q/ps202411nite
 
 生活用製品を選ぶ際の優先項目や、各種安全マーク等に関する認知度をお伺いし、今回のシンポジウム等でも取り上げる予定です。多くの皆様のご参加、ご回答をお待ちしています。
 
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開催日時 :2024年 11月27日(水) 14:00~16:00
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【プログラム】
講演①:「消費生活用製品安全法」の改正について
      (経済産業省 製品安全課長 佐藤猛行様)
講演②:消費者の安全を守るために(事業者への期待)
      (一般財団法人製品安全協会 専務理事 関成孝様)
講演③:インターネットモールにおける製品安全への取組
      (オンラインマーケットプレイス協議会 代表理事 片岡康子様)
質疑応答ほか
 ※進行:一般財団法人電気安全環境研究所 電気製品安全センター 桑原崇
――――――――――――――――――――――――――――――――
【定   員】Zoom参加 300名(登録者には、見逃し配信あり)
【参 加 費】無料
【申   込】以下のリンクからお願いします。
 → https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_5YK0mvU4Tcq2BmyGN9xRFQ
ご登録後、ウェビナー参加に関する確認メールが届きます。
 
【お問合せ】地方創生SDGs官民連携プラットフォーム『安全とSDGs分科会』
(事務局)一般財団法人電気安全環境研究所 
            電気製品安全センター(担当:桑原)電話:078-771-5135 
            Mail:[email protected]
 
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◆◆◇  「NITE SAFE-Lite」のご案内 ◇◆◆
 
NITE は、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する情報を発信しており、NITE のウェブサイトで、製品事故の調査結果、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを提供しています。その中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、「NITE SAFE-Lite」というサービスを提供しています。
 
「NITE SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、6 万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。
 
「NITE SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる危険性やその場合の被害状況などが「見える化」され、事故の未然防止につながります。
 
令和6年4月1日、「SAFE-Lite」は「事故情報検索データベース」と「リコールデータベース」を統合し、「NITE SAFE-Lite」となりました。
 
【NITE SAFE-Lite】
https://safe-lite.nite.go.jp/
 
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       ◆◆◇ 消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について ◇◆◆
 
                                    消費者庁
 
  消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告
  のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
 
11/08 11件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241108_01.pdf
11/06 06件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241106_01.pdf
11/01 17件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241101_01.pdf
10/29 12件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241029_01.pdf
10/25 15件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241025_01.pdf
10/22 07件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241022_01.pdf
 
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◆◆◇ Instagram アカウントのご案内 ◇◆◆
 
 NITEでは、公式アカウントを開設しています。
 インスタグラムでも、シーズンに合わせて、皆様の生活の安全を守るためにどんどん発信していきますので、フォローやいいねをお待ちしております!
 
 Instagramアカウント→@nite_japan

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編集後記

 私の住んでいる地域では、冬になると ”雪やこんこん♪~”(童謡ゆき)の音楽を流してタンクローリー車で灯油を売りに来ます。冬の風物詩です。
 さて皆さんは、灯油はどこで買われているでしょう。ガソリンスタンド、ホームセンターの灯油販売コーナー、タンクローリー車の流し売り、・・ガソリンスタンド(セルフ)でポリタンクに自分で給油するときは、あとで容器が膨らまないように満タンにせずに少し隙間を持たせて入れたら良いようです(容器の上から1割くらい下まで)。石油暖房器だけでなくポリタンク側も蓋閉めは確実に。車は安全運転で灯油を持ち帰って下さいね。

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図