Vol.458 8月13日号 「温水洗浄便座の事故」
表訂正のお知らせとお詫び
日頃よりPSマガジンをご購読いただきまして誠にありがとうございます。
7月23日に配信いたしましたPSマガジン Vol.457「夏に気を付けていただきたい製品事故3選」の表に誤りがございました。つきましては、下記の通り訂正をさせていただきます。
ご迷惑をおかけいたしましたことを、深くお詫び申し上げます。
なお、NITE HPは訂正済みです。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/mailmagazin/2024fy/vol457_240723.html
<訂正箇所>モバイルバッテリーで気を付けるポイント
Vol.458 8月13日号 「温水洗浄便座の事故」【PDF:504KB】
夏は冷たい便座が気持ちいいですよね!でもその冷たい便座、実は故障かもしれません。長年の使用で便座の暖房ヒーターが断線している可能性があります。温水洗浄便座は電気製品であり、電気製品には寿命があります。故障や異常を放置すると最悪火災事故につながることもあります。異常や故障が生じていないか、チェックポイントで定期的な点検を行い、異常や故障に気付いたら放置せず、直ちに止水栓を閉め電源プラグを抜いて、使用を中止することが重要です。今回は温水洗浄便座の事故について取り上げます。
項目一覧
- 1.温水洗浄便座の事故
- 2.製品事故収集情報(7月7日~7月27日 受付132件)
- 3.リコール情報 1件
- 4.その他の製品安全情報
- ・「2024年度 製品安全基本教育講座」のご案内
- ・2024年度NITE講座(認定センター)参加者募集のお知らせ
- ・製品安全4法の一部改正についてのお知らせ
- ・「NITE SAFE-Lite」のご案内
- ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
- ・Instagram アカウントのご案内
1.温水洗浄便座の事故
【経年劣化による事故】
温水洗浄便座から発煙しました。
→長期間使用(約15年9か月)により、便座コードに屈曲が繰り返されたために半断線が生じ、発熱・発煙したものと考えられます。
【異常(故障)を放置して起きた事故①】
温水洗浄便座から発煙する火災が発生しました。
→焼損が著しく、事故原因の特定には至りませんでしたが、洗浄ノズルを動かす駆動モーターに付属する基板上で異常発熱して出火した可能性が考えられます。なお、洗浄ノズルが出たまま戻らない故障状態となっていましたが、修理せずに使用し続けていました。
【異常(故障)を放置して起きた事故②】
異臭がしたため確認すると、温水洗浄便座を焼損し、周辺を汚損する火災が発生していました。
→内部基板上の接続端子でトラッキング現象※1が発生し、出火したものと考えられますが、焼損が著しく、事故原因の特定には至りませんでした。なお、2~3年前から複数の機能に不具合が生じていましたが、修理せずに使用し続けていました。
(※1)非導電部に付着した異物などにより電気の通り道(トラック)が生成され、異常発熱する現象。
【誤ったお手入れによる事故】
店舗で温水洗浄便座を焼損する火災が発生しました。
→従業員は毎日、強酸性の洗剤を用いて清掃を行っていたこと、便座内部から塩素を含む強酸性の洗剤が検出されたことから、不適切な清掃方法により洗剤が浸入して内部部品の腐食が進み、さらに便座着座時の外力が繰り返し加わったことでヒーター線が断線し、事故に至ったものと考えられます。
なお、取扱説明書には、「洗浄ノズルや、本体等のプラスチック部分の手入れをするときは、薄めた台所用洗剤(中性)を使用し、トイレ用洗剤、住宅用洗剤等は使用しない。」旨、記載されていました。
【温水洗浄便座の事故を防ぐために気を付けるポイント】
○異常や故障がないか確認する。もし異常や故障に気付いたら使用を中止する。
温水洗浄便座は電気製品であるため、異常や故障を放置して使用し続けていると発火し、火災につながるおそれがあります。異常や故障が無いか、チェックポイントで定期的に点検しましょう。特に、製造から長期間経過している製品は、部品の劣化が進んでいることが考えられるため、より注意が必要です。
もし、異常や故障に気付いたら、直ちに止水栓を閉めて電源プラグを抜き、使用を中止してください。その後、お買い求めの販売店や工事店、メーカーに相談してください。
なお、一般社団法人日本レストルーム工業会は、10年以上使用している製品について、点検と買い換えの検討を推奨しています。
温水洗浄便座の異常や故障のチェックポイント
もし異常や故障に気付いたら…
温水洗浄便座の止水栓を閉め、電源プラグを抜いて使用を中止してください。
○洗剤を使用する際は、正しいお手入れ方法を確認する
誤った方法によるお手入れを繰り返していたことで、温水洗浄便座内部に洗剤や洗剤から発生したガスなどが浸入して事故につながったケースがあります。洗剤を使ったお手入れの際は、温水洗浄便座に洗剤を直接吹きかけたり、便器鉢内に洗剤を放置したりしないようにしましょう。
お手入れで気を付けるポイント
□洗剤を柔らかい布に含ませて拭いたあと、水拭きする。温水洗浄便座(プラスチック部分)に直接洗剤を吹きかけない。
□使用できる洗剤を取扱説明書で確認する。
□便器用洗剤を使用する際は、便座蓋は開けたままにし、洗剤は3分以内に流す。
○使用している製品がリコール対象ではないか確認する。
温水洗浄便座のリコール対象製品による事故が発生しています。リコール開始から10年以上使用した後に発生した事例があり、長期間使用できている製品であってもリコール対象製品である場合があります。
事業者、消費者庁、経済産業省及びNITEなどはホームページでリコール情報を掲載しています。お持ちの製品がリコール対象製品かどうかを確認してください。リコール対象製品をお持ちの場合は、不具合が生じていなくても直ちに使用を中止し、お買い求めの販売店や工事店、メーカーに相談をしてください。
【参考】
NITE SAFE-Lite
https://safe-lite.nite.go.jp/
経済産業省 リコール情報
https://www.meti.go.jp/product_safety/recall/index.html
消費者庁 リコール情報サイト
https://www.recall.caa.go.jp/
○リコール情報を知らせるサービスを利用する
消費者庁のリコール情報サイトでは、製品の担当省庁等が公表したリコール情報を一元的に集約して提供するメール配信サービスを実施しています。リコール情報を迅速に受け取ることができますのでぜひ活用しましょう。
【参考】
消費者庁 リコール情報メールサービス
https://www.recall.caa.go.jp/service/register.php
【注目!新作動画】
○温水洗浄便座「1.故障を放置して使用」
温水洗浄便座の故障(水漏れ)を認識したまま使用し続けていて発生した事故のイメージ映像と注意すべきチェックポイント
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/20240725.html
■NITEでは2024年7月25日に注意喚起として『温水洗浄便座は“電気製品”なんです!~経年劣化、故障放置による事故に注意~』をプレスリリースしました。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2024fy/prs240725.html
(注意喚起ミニポスター)
- (1) 温水洗浄便座は“○○○○”なんです!
https://www.nite.go.jp/data/000154913.pdf
■その他の事故事例は、「NITE SAFE-Lite」で「温水洗浄便座」「故障」等をキーワードに検索していただけます。
https://safe-lite.nite.go.jp/
2.製品事故収集情報
◆◆◇ 消費生活用製品の事故情報収集状況 ◇◆◆
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
- 1.モバイルバッテリー ( 火災等 11件 )
- 2.バッテリーパック ( 死亡等 8件 )
- 3.パワーコンディショナ(太陽光発電システム用) ( 火災等 7件 )
- 4.エアコン ( 軽傷等 6件 )
- 4.照明器具 ( 火災等 6件 )
バッテリーパックは 電動アシスト自転車用のバッテリーパックから出火したという3件の同種事故を含みます。
◇最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
■事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
3.リコール情報
- ◆Shenzhen Baseus Technology Co., Ltd(海外事業者)
「リチウム電池内蔵充電器」 2024/07/04(HP)
【詳細】https://baseuspowerbankjp-recall.com/html/
4.その他の製品安全情報
◆◆◇「2024年度 製品安全基本教育講座」のご案内◇◆◆
一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
「2024年度 製品安全基本教育講座」
第2講 「事故事例とリスクアセスメント」がまもなく開講となります。
本講座は第1講から第6講で構成され、製品安全の基本から個別製品のIEC安全規格の具体的な要求事項に加えて、IEC 62368-1や電気用品安全法の技術基準の性能規定化等の最新情報を盛り込んでいます。
全講義を通して受講することにより、製品安全の基本事項を幅広く修得してもらうことを目的としています。
また、受講者の担当する製品や知識レベルに応じて、必要な講座だけを選択受講することも可能です。
【第2講 事故事例とリスクアセスメント】 日時:2024年9月27日(金)
講師:酒井 健一氏 独立行政法人 製品評価技術基盤機構
内容:
1) リスクアセスメントとは 2) リスクアセスメント手法
3) 事故事例とリスクアセスメント 4) リスク低減の方法と事例
5) 事故データベースの活用 6) リスクアセスメント実習
【詳 細】 https://www.kec.jp/img/committee/2024/anzen24.pdf
【申込先】 https://www.kec.jp/seminar/anzen24/
問合せ先: 一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
専門委員会推進部 事務局 藤田 泰男
TEL:0774-29-9041 E-mail:[email protected]
◆◆◇2024年度NITE講座(認定センター)参加者募集のお知らせ◇◆◆
毎年恒例のNITE講座を本年度も開催します。
今年度第1弾は、適合性認定分野(認定センター)が行います。
「試験」「検査」「認定」をはじめとした「適合性評価」の概要、「認定」の基礎的な内容や、認定と関係する国際規格について解説します。
【日時】2024/9/5(木)13:15-15:15
【開催方式】オンライン(WEBEXウェビナー)
以下より申込可能ですので、ぜひご参加ください。
https://www.nite.go.jp/iajapan/information/iajapan-kouza_2024.html
◆◆◇製品安全4法の一部改正についてのお知らせ◇◆◆
経済産業省 製品安全課
近年、インターネットを通じた取引規模は拡大しており、複数のオンラインショップが集まるオンラインモールを通じて、消費者が海外事業者から商品を直接購入するケースも増加しています。一方で、そうした海外事業者から購入した製品において、安全性が十分でないものによる事故が増加しています。このような背景を踏まえて、経済産業省では、本年6月に改正された消費生活用製品安全法(略称:消安法)などの製品安全4法に基づき、海外製品の安全性確保を目的に、海外事業者に対して、日本国内における責任者の選任を求めることなどを盛り込んだ新たな制度を2025年末までに開始する予定です。
改正内容の詳細は今後検討していくことになりますが、以下に今回の改正のポイントを示します。
【1.海外事業者が、新たな規制対象となることを明確化】
・PSマーク対象製品を取り扱う海外事業者(オンラインモールやオークションサイトを使って、日本国内の消費者と直接取引する海外にいる事業者。以下同じ)は、改正法により、事前の事業開始の届出(この届出にて、国内管理人の選任を含む)、技術基準への適合、製品へのPSマークの表示が求められます。
・また、PSマーク対象製品であるかどうかに関わらず、消費生活用製品を取り扱う海外事業者に対しては、仮に国内で当該製品による重大製品事故(死亡、重傷、火災等)が発生し、それを認知した日から10日以内に消費者庁に事故報告の届出を提出義務がかかります。
【2.オンラインモール事業者等に対する出品削除要請等の創設】
オンラインモール等において提供される消費生活用製品について、その製品によって日本国内の消費者に危険が及ぶおそれがあり、その製品の出品者がリコール等の必要な措置を講じないときは、規制当局からオンラインモール事業者等に対して、その製品の出品削除を要請できます。
【3.玩具(低年齢層向けのもの)等の子供用の製品の流通に係る規制の創設】
・新たに低年齢層向けの玩具(積木、歯固め、ガラガラのようなもの)を規制の対象とすることを検討しており、今後規制対象となった場合、こうした製品を製造・輸入する事業者は技術基準への適合義務や表示義務(対象年齢、使用上の注意に関する表示)に対応しなければならず、日本で販売する事業者は必要なマークを確認する必要があります。
(下記URLからも関係情報を参照ください。英語、中国語での概要資料もあります)
https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/shouan/shouan_ichibu_kaisei.html
◆◆◇ 「NITE SAFE-Lite」のご案内 ◇◆◆
NITE は、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する情報を発信しており、NITE のウェブサイトで、製品事故の調査結果、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを提供しています。その中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、「NITE SAFE-Lite」というサービスを提供しています。
「NITE SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、6 万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。
「NITE SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる危険性やその場合の被害状況などが「見える化」され、事故の未然防止につながります。
令和6年4月1日、「SAFE-Lite」は「事故情報検索データベース」と「リコールデータベース」を統合し、「NITE SAFE-Lite」となりました。
【NITE SAFE-Lite】
https://safe-lite.nite.go.jp/
◆◆◇ 消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について ◇◆◆
消費者庁
消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
- 7/26 22件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_240726_01.pdf - 7/30 12件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_240730_01.pdf - 8/2 30件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_240802_01.pdf - 8/6 14件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_240806_01.pdf - 8/9 21件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_240809_01.pdf
◆◆◇ Instagram アカウントのご案内 ◇◆◆
NITEでは、公式アカウントを開設しております。
インスタグラムでも、シーズンに合わせて、皆様の生活の安全を守るためにどんどん発信していきますので、フォローやいいねをお待ちしております!
Instagramアカウント→@nite_japan
編集後記
毎日暑いですね。自分がこどものときはこんなに暑くなかった気がして調べたら、やはり今年は全国的に平年より気温が高いみたいです。自分が小学生のときは、朝のんびり起きて昼ドラ(大好き!五つ子など)を見て、友達と学校のプールに行き、図書室で夏休みの宿題をやるか友達の家で遊んで夕方に帰る、という生活をしていました。今のこどもたちは外で遊ぶことが難しいと思うので、何しているのでしょう?今年は9月まで残暑が厳しいそうですが、早く涼しくなってほしいです。(ゆ)
お問い合わせ
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター 製品安全広報課
-
TEL:06-6612-2066
FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図