Vol.434 8月8日号 「アウトドア調理時の火の扱い」
いよいよ夏本番!バーベキューやキャンプなどでのアウトドア調理が楽しい季節になりましたね~
しかしながら、”火の扱い“を少しでも間違ってしまうと、一瞬のうちに大きな事故につながるおそれがあり、注意が必要です。
特に「ガストーチ」や「カートリッジガスこんろ」などのガス製品※1では、毎年多くの事故が発生しており、NITEに通知された製品事故情報※2では、2017年度から2022年度の間に合計154件ありました。事故事象の多くは『漏れたガスに引火した』ケースと『過熱されたガスカートリッジが破裂した』ケースの2つで、やけど等の被害が発生しています。
改めて取扱説明書の禁止事項を確認し、安全にアウトドア調理を楽しみましょう。
(※1)アウトドア調理時に使用するガス製品として、「ガスカートリッジ」、「ガストーチ」、「カートリッジガスこんろ」を対象としています。
(※2)消費生活用製品安全法に基づき報告された重大製品事故に加え、事故情報収集制度により収集された非重大製品事故やヒヤリハット情報(被害なし)を含みます。
テキストメール形式をご希望の方へ
PSマガジンは、これまで「テキスト形式」のみでお送りしてきましたが、読みやすさ向上のため、お使いのメールソフトの受信設定に合わせて「HTML形式」(画像付きメール)または「テキスト形式」で表示されるマルチパート形式に移行しました。「テキスト形式」をご希望の場合は、お使いのメールソフトにて設定を変更していただきますようお願いいたします。
項目一覧
- ・「2023年度 製品安全基本教育講座」のご案内
- ・「SAFE-Lite」のご案内
・iPod nanoの製品事故に係る定期報告
・Instagram アカウント開設のお知らせ
1.アウトドア調理時に使用するガス製品の事故
【アウトドア調理時に使用するガス製品】
ガストーチ、カートリッジガスこんろ(ガスカートリッジ直結型1口タイプ、ガスカートリッジ直結型2口タイプ、分離型、カセットこんろ)及びこれらの製品に取り付けるガスカートリッジ(カセットボンベ、アウトドアボンベ)
【事例①】漏れたガスに引火した事故
炭に火をつけようとガストーチを点火したところ、ガストーチを焼損する火災が発生しました。
→使用者がガス漏れを認識しながらそのまま使用したことで接続部から漏れたガスにバーナー部の火が引火したものと推定されます。なお、取扱説明書には、「ガスカートリッジ(容器)を取リ付けた際、ガス漏れと思われる場合は、火気のない屋外に持ち出し、ガスをすべて発散させる。」旨、記載されていました。
【事例②】ガスカートリッジが過熱されて破裂した事故
ガスカートリッジ直結型(1口)のカートリッジガスこんろを使用中、破裂し火災が発生しました。
→使用者がカートリッジガスこんろをレンガで囲った状態で使用したため、囲まれた空間の温度が上昇し、アウトドアボンベが過熱されて内圧が上昇し、破裂に至ったものと考えられます。
【使用前に気を付けるポイント】
○製品とガスカートリッジの接続部に劣化や汚れがないかを確認する。
ガス製品とガスカートリッジを接続したときに気密性が保たれるために付いているOリングが長期間使用によって劣化すると、気密性を保てずにガスが漏れる原因となってしまうことがあります。使用前にしっかりと目で見て、変形や傷がないかを確認しましょう。 また、接続部周辺に小さな砂利やごみが付着していることでも、接続部を傷つけたり隙間ができたりする原因になるので、使用前に汚れがないかも合わせて確認してください。
○製品にガスカートリッジが正しく接続できることを確認する。
ガスカートリッジを接続する際は、取扱説明書の指示に従って正しく接続してください。誤って接続された状態で使用すると、ガスが漏れ、火災に至るおそれがあります。機器の破損が考えられる場合、購入店や製造事業者に問い合わせてください。
○点火の前に、異音や異臭がしないかを確認する。
Oリングや接続部の異常は目視では確認し難いこともあります。そのため、接続時に、ガスの漏れる音(シューという異音)や臭いがしないかを確認してください。
【使用中に気を付けるポイント】
○放射熱の大きな調理器具は使用しない。
カートリッジガスこんろに対して、こんろ全体を覆うような大きな鍋や鉄板などの放射熱の大きな調理器具は使用しないでください。鉄部からの放射熱(鉄部から発生した熱)によってガスカートリッジが過熱され、接続部が溶けて漏れたガスに引火したり、ガスが漏れていなくてもガスカートリッジの内圧が上昇したりすることにより破裂するおそれがあります。
○ガスカートリッジが過熱されるような使い方をしない。
風で火が消えないようにする目的でガスカートリッジの周囲をレンガやコンクリートブロックなどで風防代わりに囲ってしまうと、熱がこもり、ガスカートリッジが過熱されることで破裂するおそれがあります。調理器具の大きさや種類だけでなく、取扱説明書で禁止されている誤った使い方をしないように気を付けてください。
【注目!新作動画】
○カートリッジガスこんろ「風防で囲むことの危険」
https://youtu.be/EdK1BWWMTNE
■NITEでは2023年7月27日にアウトドア調理時の火の扱いに関する注意喚起
『夏もやっぱり火の用心!~アウトドア調理時のNG行動~』をプレスリリースしました。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2023fy/prs230727.html
■その他の情報も併せてご参照ください。
(映像資料:リンク先で動画が視聴できますので是非ご覧下さい)
(1) ガストーチ「取付不良で漏れたガスに引火」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/nenshou/2020082701.html
(2) ガストーチ「傾け使用による異常燃焼」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/nenshou/2020082702.html
(3) カートリッジガスこんろ「直結型カートリッジガスこんろの破裂」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/1263.html
(4) カセットこんろ「2台並べたカセットこんろの破裂」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/nenshou/17122102.html
(5) 着火剤「継ぎ足しでやけど」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/2020082704.html
(注意喚起ミニポスター)
(1)アウトドア調理時のNG行動
https://www.nite.go.jp/data/000150241.pdf
■その他の事故事例は、「事故情報の検索」で「ガストーチ」「カートリッジガスこんろ」
等をキーワードに検索していただけます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jiko-db/accident/search/
2.製品事故収集情報
消費生活用製品の事故情報収集状況
(7月16日~7月22日 受付 50件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
製品名 ( 事故状況と件数 )
1.フライパン ( 製品破損 11件 )
2.洗面化粧台 ( 製品破損 5件 )
3.リチウムイオン電池内蔵充電器( 火災等 3件 )
4.配線器具 ( 火災等 3件 )
5.照明器具 ( 火災等 3件 )
最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
3.その他の製品安全情報
「2023年度 製品安全基本教育講座」のご案内
一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
「2023年度 製品安全基本教育講座」
- 製品安全の基本を学ぶ -
製品安全に関する最先端の規格動向が身につきます
本講座は製品安全の基本から個別の製品についてのIEC安全規格の具体的な要求事項に加えて、IEC 62368-1や電気用品安全法の技術基準の性能規定化等の最新情報を盛り込んでいます。全講義を通して受講することにより、製品安全の基本事項を幅広く修得してもらうことを目的としています。
また、受講者の担当する製品や知識レベルに応じて、必要な講座だけを選択受講することも可能です。
第2講の申込締切日(8/29)の1か月前となりました。
【第2講 詳細】
日時:2023年9月29日[金]
講師:酒井 健一 氏 独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)
内容:事故事例とリスクアセスメント
1)リスクアセスメントとは 2)リスクアセスメント手法 3)事故事例とリスクアセスメント4)リスク低減の方法と事例 5)事故データベースの活用 6)リスクアセスメント実習
【詳 細】 https://www.kec.jp/wp/img/committee/2023/anzen23.pdf
【申し込み先】 https://www.kec.jp/seminar/anzen23/
問合せ先 一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
専門委員会推進部 事務局 藤田 泰男
TEL:0774-29-9041 E-mail:[email protected]
◆◆◇ 「SAFE-Lite」のご案内 ◇◆◆
NITEは、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する情報を発信してきました。NITEのウェブサイトでは、事故情報データベース、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを発信しています。その中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、「SAFE-Lite」というサービスを提供しております。
「SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、6万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。
「SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる危険性やその場合の被害状況などを調べられることで、事故の未然防止につながることを期待しています。
【SAFE-Lite】
https://safe-lite.nite.go.jp/
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
◆◆◇ 消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について ◇◆◆
消費者庁
消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
7/25 11件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230725_01.pdf
7/28 17件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230728_01.pdf
8/1 14件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230801_01.pdf
8/4 15件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230804_01.pdf
8/8 14件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230808_01.pdf
◆◆◇ iPod nanoの製品事故に係る定期報告 ◇◆◆
令和5年7月26日付、Apple Japan合同会社(旧 アップル ジャパン株式会社)の経済産業省へのiPod nano(第一世代)の製品事故に係わる定期報告がありました。令和5年6月1日から30日までの本体・バッテリー交換件数は17件となっています。同社が対策を開始した平成22年8月11日以降の本体・バッテリー交換件数の累計は308,076件となっています。また、誠に勝手ながら当該iPod nano(第一世代)の製品事故に係わる定期報告のPSマガジンの掲載につきましては、今号を最終掲載とさせて頂きます。引き続き、経済産業省のホームページには当該情報を掲載しておりますので、今後は当該ホームページを御確認頂けますよう、よろしくお願いいたします。
https://www.meti.go.jp/product_safety/download/kouhyou230726_2.pdf
◆◆◇ Instagram アカウント開設のお知らせ ◇◆◆
NITEでは、公式アカウントを開設しております。
インスタグラムでも、シーズンに合わせて、皆様の生活の安全を守るためにどんどん発信していきますので、フォローやいいねをお待ちしております!
Instagramアカウント→@nite_japan
編集後記
夏にやりたい!楽しいアウトドア調理ですが、その裏には危険もたくさん潜んでいます。久々に行う方の中には、『あれ、どうやって火おこしするんだっけ?』『たぶんこんな感じだったな?』と、いにしえの記憶だけに頼っていませんか?
でも実はその行為、取扱説明書で禁止されているNG行動かもしれません!
そんな、よくあるNG行動をまとめた「まちがい探し動画」を作成しました。
▶https://youtu.be/pmoqf9TxOvM
夏休みにバーベキューを控えている方は、ぜひ観て挑戦してみてくださいね!
夏も”火の用心“を忘れずに~(た)
お問い合わせ
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター 製品安全広報課
-
TEL:06-6612-2066
FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図