特記ニュース No.79  2月 6日号
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=============2007.2.6 PSマガジン<特記ニュース>============
電子レンジ加熱式湯たんぽを電子レンジで加熱する際に、火傷する事故が発
生しています。このことから、NITEは、事故の再発防止のため、市場に流
通している製品の試買テストを行い、その結果を事故情報特記ニュースNo.79
で公表しました。概要は以下のとおりです。
◆◆◇ 電子レンジ加熱式湯たんぽによる加熱時の ◇◆◆
火傷事故の再発防止について(注意喚起)
電子レンジ加熱式湯たんぽ(*1)については、近年その便利さから多用される
傾向があるものの、加熱し過ぎによる火傷事故など製品事故の例が見受けられ
るようになってきました。このため、このたびNITEにおいて市場に流通し
ている同製品を購入し、加熱性能等の試験を行ったところ(*2)、いくつかの製
品において、加熱をし過ぎると容器の破裂や内容物の漏れ出し等により火傷の
可能性があることがわかりましたので、次のとおり使用方法について注意喚起
します。
(*1)樹脂フィルム製の袋、樹脂製ケース等に保温剤を入れたもので、電子レン
ジで温めて、湯たんぽ等の保温用具として使用するもの。
(*2)電子レンジメーカーは、電子レンジで食品以外のものを加熱しないよう、
取扱説明書に記載しておりますが、今回のテスト結果では、食品以外のも
のを電子レンジで加熱することの是非を述べたものではありません。
__________________________________
注意喚起事項
__________________________________
(1) 取扱い表示にあるレンジ出力及び加熱時間を必ず守って使用してくださ
い。表示よりも過剰な加熱を行うと、袋やケースが破損又は破裂し、高
温の内容物が漏れ出たり、飛び散っ たりして火傷の恐れがあります。
(2) 袋が膨張した場合や内容物(ジェル又は液体)が漏れ出た場合には、直
ちに電子レンジのスイッチを切り、その後十分時間を置き冷却したこと
を確認したうえでレンジ扉を開ける等してください。
(3) 温かいうちの再加熱は、これを行わないか又は再加熱の際の取扱い表示
がある場合はそれに従ってください。
(4) あたためボタンなど電子レンジの自動モードを使用すると、過剰加熱と
なる恐れがありますので、これを行わないでください。
(5) 長期間の使用により、袋の強度が低下する可能性がありますので、袋に
弾力性低下、き裂などが見られた場合には使用を中止してください。
(6) 取扱い表示どおり行っても、袋(又はケース)表面が、部分的に高温
(100℃)になる場合がありますので、電子レンジから取り出す際に
は注意してください。
__________________________________
1.経緯
電子レンジ加熱式湯たんぽについては、「電子レンジで加熱後、取り出し時
に内容物が漏れて火傷した」「電子レンジで加熱後、取り出し時にケースが破
裂、内容物が飛散し火傷した」との事故情報が寄せられています。また、平成
18年10月2日、経済産業省は、電子レンジ加熱式湯たんぽを使用中に容器
が破損、高温の内容物が飛散し、重傷の火傷を負うとの事故を受け、当該事故
品の製造事業者及び販売業者に対し消費生活用製品安全法第83条に基づく報
告徴収を行うとともに、消費者への注意喚起を行ったところです。また、当該
事故品の他にも同様の製品が数多く販売されていることから、NITEでは、
これらの製品の安全性を確認するため試買テストを実施しました。
2.テスト結果の概要
2.1 テスト対象製品
試買に当たっては、市場から広く購入し、ジェル状タイプ9銘柄、固形
タイプ(温めると液状となる)4銘柄及び液状タイプ1銘柄の合計14銘
柄をテスト対象製品としました(下記参照)。対象製品は、平成18年
11月2日~13日の間に、店舗又は通信販売により購入したものです。
なお、購入時点以降に販売された後継品等に対して改良があったものも
ありますが、これらは本テスト上で考慮していません。
2.2 テスト方法
実際の使用パターンを念頭に置いて、次の4通りのケースで全試料のテ
ストを実施しました。併せて落下による破損の可能性も調べました。
(1)取扱い表示どおりの加熱を行った場合
(2)取扱い表示よりも過剰な加熱を行った場合として、
1_温かいうちの再加熱
2_表示より高いレンジ出力を使用しての加熱(加熱時間は表示された最
大許容時間)
3_試料が破損するまで連続した加熱(連続加熱)
また、1_のテストのあとに落下試験を行い、破損しないかどうかを確認
しました。さらに、取扱説明書等に安全上必要と考えられる注意事項が記
載されているかどうかについても調査を行いました。
2.3 テスト結果
(1) 取扱い表示どおりの加熱試験
14試料とも、内容物を入れた樹脂フイルム製袋(又は樹脂製ケース)
が膨張、溶融、破裂するなどの異状はなく問題はありませんでした。た
だし、表面温度が高温(100℃)に達するもの(試料No.10、14)が
ありました。
(2) 取扱い表示よりも過剰な加熱を行った場合
1_ 温かいうちの再加熱
袋等が膨張するもの(試料No.5、13、14)が見られました。これら
は、膨張、収縮の繰り返しにより、長期的には袋等の強度低下が懸念
されます。
また、表面温度については、100℃から140℃程度まで上昇し
たもの(試料No.5、10、13、14)がありました。
2_ 表示より高いレンジ出力を使用しての加熱
加熱中に樹脂製のソフトケースが破裂してレンジの扉を押し開け、
液状の内容物(99℃)が庫外へ飛散したもの(試料No.11)があり
ました。 また、破裂寸前となるもの(試料No.5)もありました。
3_破損するまでの連続加熱
破損するまで加熱させたテストでは、内容物の流出状態に差異が生
じました。樹脂フィルム製の袋のものは比較的早く(数分程度)破損
しジェルが流出し、中には2分弱で破損したもの(試料No.3)があり
ました。一方、樹脂製ケースに入った製品は、破損に至るまでの時間
が長く(15~20分程度)なりました。全体的に取扱説明書の加熱
時間の短い製品の方が、破損に至る時間が短い傾向にあることがわか
りました。また、流出した内容物の温度は、ジェル状及び液状のもの
は約100℃、固形のものは200℃以上となりました。
なお、破裂の衝撃で電子レンジの扉が開き、内容物が庫外に飛び出
たもの(試料No.9、11)や、内容物が電子レンジの扉の下等から流れ
出すもの(試料No.10、12、13、14)もありました。
4_落下による破損テスト
再加熱後の試料すべてについて、落下テストを行いましたが、すべ
て異状はありませんでした。
(3) 取扱説明書の記載内容の比較
安全な取扱い上必要と思われる項目、1)加熱出力・加熱時間の本体表
示、2)加熱出力・時間を誤ると容器が破損・破裂する旨、3)内容物が漏
れ出した場合の取扱い及び火傷への注意、4)袋が膨張した場合の加熱の
中止、5)袋が膨張した場合レンジ扉は直ぐに開かないこと、6)追加加熱
の方法、及び7)オート加熱等は行わないことについて調べたところ、す
べての項目が表示されていたのは、1銘柄(試料No.12)のみでした。
◇テスト対象製品◇
試料No. 銘 柄 製造(販売)事業者名 内容物 容器
__________________________________
1 レンジでゆたぽん (株)白元 ジェル状 2重の袋
2 ホカロン コアラのマーチ ロッテ健康産業(株) ジェル状 2重の袋
3 お昼ねポカタンたいやき (株)ほんやら堂 ジェル状 2重の袋
4 湯~マット (株)テラオコーポレーション ジェル状 2重の袋
5 アロマフットウォーマー (株)ナチュラルウェーブ ジェル状 袋
6 ひえポカわんわん 日本パフ(株) ジェル状 袋
7 快温くん湯たんぽ オカモト(株) ジェル状 2重の袋
8 温アイス-EC (株)ケンユー ジェル状 袋
9 ホット&クール (株)富士商 ジェル状 2重の袋
10 湯たロン 三洋エンジニアリング(株) 固形 2重の袋
11 ゆぽん ENGハシモト 液状 ソフトケース
12 レンジでチンしてぽっかぽか ドギーマンハヤシ(株) 固形 ハードケース
13 エコポカ (株)東京企画販売 固形 ハードケース
14 レンジヒートパッド (株)ケーピーエス 固形 ハードケース
【詳細】テストの詳しい内容は、以下のページをご覧ください。
「事故情報特記ニュースNo.79」
http://www.jiko.nite.go.jp/news/news79.html
【参考】経済産業省
「電子レンジ加熱式湯たんぽの試買テスト結果等について」
http://www.meti.go.jp/press/20070206005/20070206005.html
「電子レンジ加熱式湯たんぽの火傷事故に対する対処について」
http://www.meti.go.jp/press/20061002006/20061002006.html
「電子レンジ加熱式湯たんぽの火傷事故に関する調査について(第2報)」
http://www.meti.go.jp/press/20061113005/20061113005.html
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