化学物質のリスク評価について-よりよく理解するために-4
NOAEL(無毒性量)とTDI(耐容一日摂取量)
NOAEL(No Observed Adverse Effect Level:無毒性量)とは
動物試験などで求められた“この量以下ならば病気などの有害な影響が出ない最大量”のことです。
実際には、一定期間マウスやラットなどに強制的に化学物質を与える試験を量を変えて何段階か行い、その結果、有害な影響が認められなかった最大の投与量をNOAEL(無毒性量)として採用します。
通常、1日当たり、体重1kg当たりの化学物質の量で表します。(例:mg/kg/ 日)
NOAELは、
長期毒性(※7) | 長期間の継続暴露(反復暴露)で現れる毒性 |
---|---|
生殖・発生毒性 | 親の生殖機能や胎児に悪い影響を起こす毒性 |
発がん性(※8) | 各種のがんを発病させる性質 |
気道感作性 | 気道のアレルギー(喘息など)を起こさせる性質 |
- ※7 反復投与毒性ともいいます。
- ※8 NOAEL(無毒性量)がない場合もあります。
→「発がん性の評価の仕方と閾値」をご参照ください。
などの、毒性それぞれについて、求められます。
TDI(Tolerable Daily Intake:耐容一日摂取量)とは
ヒトに対する“この量以下ならば、ヒトが生涯毎日摂取(暴露)しても、病気などの有害な影響が出ない量”のことで、動物試験などで求められたNOAEL(無毒性量)をUFs(不確実係数積)(※9)で割ってヒトへの無毒性量としたものです。
通常、1日当たり、体重1kg当たりの化学物質の量で表します。(例:mg/kg/ 日)
TDI(耐容一日摂取量)= | NOAEL(無毒性量) |
UFs(不確実係数積) |
ADI(Acceptable Daily Intake:許容一日摂取量)やRfD(Reference Dose の略:参照(基準)用量)も、同じ意味で使用されます。
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NEDO事業における「初期リスク評価書」では、長期毒性、生殖・発生毒性、発がん性について文献調査を行い、評価の対象とする化学物質のNOAEL(無毒性量)を求めています。
- 関連語
- LOAEL(Lowest Observed Adverse Effect Level:最小毒性量)
- NOEC(No Observed Effect Concentration:無影響濃度)
- LOEC(Lowest Observed Effect Concentration:最小影響濃度)
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